2020年秋学期 - 研究会A / SEMINAR A
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A1101 研究会A SEMINAR A |
研究プロジェクト科目 Research Seminars 4 単位 |
ソーシャルイノベーション:ソーシャルマーケティングと価値共創
Social Marketing
| 開催日程 | 秋学期 月曜日5時限,月曜日6時限 |
| 担当教員 | 玉村 雅敏(タマムラ マサトシ) |
| 関連科目 |
前提科目(推奨): C1032 |
| 授業形態 | ディスカッション、グループワーク、演習 |
| 履修者制限 | |
| 履修条件 | |
| 使用言語 | 日本語 |
| 連絡先 | tama@sfc.keio.ac.jp |
| 授業ホームページ | |
| 設置学部・研究科 | 総合政策・環境情報学部 |
| 大学院プロジェクト名 | |
| 大学院プロジェクトサブメンバー | |
| ゲストスピーカーの人数 | |
| 履修選抜・課題タイプ=テキスト登録可 | false |
| 履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 | false |
| GIGAサティフィケート対象 | |
| 最終更新日 | 2020/07/08 10:29:10 |
研究会概要
目的・内容
この研究会は「ソーシャルイノベーション」「ダブルボトムライン」「ソーシャルマーケティング」がキーワードです。
イノベーションと聞くと「技術革新」という言葉をイメージし、技術的な分野での“新たな発明”をイメージするかもしれません。しかし、イノベーションには「新結合」という訳語もあり得ます。この観点に達つと、“新たな発明”と言うよりも、様々な生産的諸力の“新たな組み合わせ(関係づくり)”によって、それまでにない新しいモデルやアプローチ、アイデア、組織運営のやり方、社会のあり方などを生成することで、成果をあげることを意味することになります。
「ソーシャルイノベーション」とは、社会的(ソーシャル)な新機軸が求められる分野(環境、福祉、教育、貧困、文化、スポーツ…など)において、様々な資源(人的資源、物的資源、知的資源、情報資源、文化資源、技術資源等)の「新結合」を創出し、その潜在力を引き出して、社会課題の解決や価値の提供、高い成果の実現をめざすという発想です。
ただし、「ソーシャルイノベーション」は、様々な資源の新たな“組み合わせ(新結合)”を探求することだけを意味するのではありません。やみくもな新結合では、生産性の高い社会課題の解決や成果の実現につながるとは限りません。
そこで注目されているのが、「ダブルボムライン」という発想です。ボトムラインとは、決算書の最終行、つまり、収益・損失の最終結果を意味する言葉で、ダブルボトムラインとは、“経済的成果”と“社会的成果”の2つの評価軸(ボトムライン)を持つという発想です。2つのボトムラインが相互に影響し合い、相乗効果を生み出すモデル(ビジネスモデルや社会モデル)を構築することで、持続力のある、社会的な新機軸を創出していくことも、「ソーシャルイノベーション」の1つのポイントとなります。
この研究会では、こういった「ソーシャルイノベーション」や「ダブルボムライン」を推進する際のアプローチとして「マーケティング」に注目をします。言い換えると「ソーシャルイノベーション」を実現する「マーケティング(=市場づくり)」とは、どういったものなのかを探求していくのが、この研究会です。
そもそも「マーケティング」とは、「Market+ing(=市場づくり)」という言葉で、「市場(=様々なやりとりや関係づくりを通じて、多様な価値が創造され、関係者に満足が提供される場)」を創り、「持続的に機能させること(ing=現在進行形)」を意味しているものです。すなわち、様々な関係づくりを通じて、価値を創り出し、関係者それぞれが目的を達成し、かつお互いに満足を増進させていく持続的なプロセスを機能させることといえます。
現在の「マーケティング」とは、営利企業での営利活動に限定されるものではありません。非営利組織(NPO、財団、学校、病院、ミュージアム…)や行政組織の活動、地域づくりや社会キャンペーンの活動などでも、その使命や目的を、より効果的かつ効率的に実現することをめざして活用されています。また、営利企業でも、CSRや社会貢献活動、本業での共有価値の創造(CSV)など、企業の持続的な活動を支えるために、企業活動による社会的成果を重視するようになっていますが、その成果を持続的に向上させるためにも「マーケティング」の発想や技術が活用されるようになっています。さらには、企業や組織による活動のみならず、持続的に社会的な価値を創出し続ける関係づくりやネットワークづくり、人びとの共感を醸成し社会がより良い方向に向っていく仕組みづくり、共感をもとにした個々の行動誘発などにおいても、マーケティングの発想や仕組みが活用されています。こういった社会的な領域におけるマーケティングは「ソーシャルマーケティング」と呼ばれています。
この「ソーシャルマーケティング」は、常に進化し続けているものです。「ソーシャルイノベーション」の発想を意識したとき、「ソーシャルマーケティング」のあり方も、さらに進化していくことになります。
この研究会では、常にその時点での「ソーシャルマーケティング」の姿を探求することと、求められている理論や概念、手法を整理することを行いながら、それぞれがテーマを設定し研究プロジェクト(調査・研究活動)にとり組みます。具体的には、常に、意識すべき理論や概念、手法などを学び続けながら、各種の実践事例に見られるモノやコト、サービス、場などを調べ抜いた上で、春学期はチームで「ソーシャルマーケティングプロダクト」づくり、秋学期は個人個人で成果を出す研究プロジェクト(調査・研究活動)にとり組みます。
奥深い調査・研究活動を行うには、メンバー自身の成長も不可欠です。そのために、多くの文献や資料を読み込むことも行います。
This seminar is a research on the frontiers of social marketing. Assumption will hold discussions in Japan.
評価方法
調査・研究活動などの研究プロジェクトの諸活動、チーム輪読やディスカッションでの活躍度などから、総合的に評価します。
Evaluation activities and in the activities of the research project, team reading and discussion.
教材・参考文献
学期はじめに提示します。目安として1週で1-2冊程度の分量の文献を読む予定です。
関連プロジェクト
大学院AP「ネットワークコミュニティ」
課題
- 毎回のチーム輪読での成果を提示すること。
- 春学期の成果として、チームでの研究成果(ソーシャルマーケティングプロダクト)を作成します。
- 年度末までに、全員、個人論文を作成します。
来期の研究プロジェクトのテーマ予定
ソーシャルイノベーション:ソーシャルマーケティングと価値共創
その他・留意事項
# 毎週、時間外のチーム輪読やサブプロジェクト活動、フィールドワークなどにかなりの時間を割く前提で参加して下さい。また、他の活動よりも優先して取り組むことが必須です。それでも是非やりたいという学生のみ参加してください。
# 文献を読む際には、個人個人で文献を読み込み、チームで徹底的に議論・追加調査をした上で、研究会に臨む「チーム輪読」というスタイルで行います。自らの日程や都合を優先することや、文献を読み込まずにフリーライダーとして参加することなど、この「チーム輪読」になじまない学生は、他の学生に迷惑なので、参加をしないでください。
# 新規に参加をする学生は、休み中に、前の学期に研究会で輪読をした文献など、指定の文献を読んでもらいます。
# 聴講や一部参加は不可です。参加する場合は、すべての活動に参加することを条件とします。(研究会のことを知るための1-2回程度の見学は可能です)
# 複数の研究会に所属する場合は、必ず、エントリー時に相談をしてください。
# この研究会は、協働でよりよい研究会づくりを率先して推進するメンバーで活動しています。その前提でエントリーをお願いします。
授業スケジュール
# 研究会の活動時間(月曜日5・6限を予定)は、チーム輪読や輪読からの追加調査・研究をしてきた成果の共有、チームの活動報告と相互レビューなどを行います。21時ころまでおこなう想定ですので、月曜日夜のスケジュールはあけておいてください。
# 月曜日の研究会の時間外に、毎週、チームで活動を行う時間を設定し、輪読や研究プロジェクト活動などを行います。お互いに、研究会の活動を最優先に位置づけ、こまめに対面での活動時間をとることで、学習が進むことになるので、優先的に時間を設定するようにしてください。
# 例年は、学期はじめに「キックオフ合宿」を開催しています。新規参加者の歓迎と文献等のキャッチアップ、チームで推進する研究プロジェクトの研究計画作成を行います。指定日程をあけるようにしてください。(2020年秋は実施未定です)
# 例年は、学期末に、研究成果の集約をする「ブラッシュアップ合宿」を開催しています。(2020年秋は実施未定です)
# 学期末に「研究発表カンフェレンス」を開催し、社会人や専門家のゲストにお越し頂き、研究成果の発表とレビューを受けます。
# 夏期休校期間中、「特別研究プロジェクト(4単位)」を開講する予定です。
# 年度末(2月末〆切)に、全員、ある程度の分量の個人論文の作成を行います。