2020年秋学期 - 運動の生理と心理 / MOVEMENT PHYSIOLOGY AND PSYCHOLOGY
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C2117 運動の生理と心理 MOVEMENT PHYSIOLOGY AND PSYCHOLOGY |
特設科目 Special Seminars 2 単位 |
| 実施形態 | 完全オンライン |
| 開催日程 | 秋学期 月曜日4時限,月曜日5時限 |
| 担当教員 | 牛山 潤一(ウシヤマ ジユンイチ) |
| 関連科目 |
前提科目(推奨): B6132,34070 前提科目(関連): 34030,B6130,C2033,90557,B6131,34040,C2025,34020 |
| 開講場所 | SFC |
| 授業形態 | 講義 |
| 履修者制限 |
履修人数を制限する Only the selected students can take this course. |
| 履修条件 | |
| 使用言語 | 日本語 |
| 連絡先 | ushiyama@sfc.keio.ac.jp |
| 授業ホームページ | |
| 同一科目 | |
| 学生が利用する予定機材/ソフト等 | |
| 設置学部・研究科 | 総合政策・環境情報学部 |
| 大学院プロジェクト名 | |
| 大学院プロジェクトサブメンバー | |
| ゲストスピーカーの人数 | 0 |
| 履修選抜・課題タイプ=テキスト登録可 | true |
| 履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 | false |
| GIGAサティフィケート対象 | |
| 最終更新日 | 2020/08/18 15:11:59 |
科目概要
人間は生まれながらに動く生物である.動くことで外界に触れ,感じ,成長する.また動くことで自己を表現・確立するとともに,他者との関わりを持つことができる.すなわち,「運動」は我々人間の根源的な営みであり,この仕組みを正確に理解することは,人間そのものの本質的な理解という基礎科学的な価値にとどまらず,自己や他者の健康問題を再考する上でも意義深い.本講義では,人間の脳と身体をひとつの「システム」として捉え,脳・神経系/筋・骨格系/エネルギー供給系がいかに連動しながら運動が成り立っており,これを繰り返すことで如何なる可塑的変化が生まれるかという運動の生理,およびどのようなメンタルプロセスを経て我々の運動行動が決定・制御されるのかという運動の心理について学ぶ.
We humans are moving from our birth. By moving our body, we can see, touch, fell the world. Also, by moving our body, we can express ourselves and communicate with others. As such, our bodily movements are essentials for our life. In this course, by regarding our body and brain as a system, we are aiming to accumulate basis of humans, and reconsider our own health, by learning mechanisms behind our bodily movements.
授業シラバス
主題と目標/授業の手法など
人間は生まれながらに動く生物です.動くことで外界に触れ,感じ,成長します.また動くことで自己を表現・確立するとともに,他者との関わりを持つことができます.すなわち,「運動」は我々人間の根源的な営みであり,この仕組みを正確に理解することは,人間そのものの本質的な理解という基礎科学的な価値にとどまらず,自己や他者の健康問題を再考する上でも意義深い課題といえます.本講義では,人間の脳と身体をひとつの「システム」として捉え,脳・神経系/筋・骨格系がいかに連動しながら運動が成り立っており,これを繰り返すことで如何なる可塑的変化が生まれるかという運動の生理,およびどのようなメンタルプロセスを経て我々の運動行動が決定・制御されるのかという運動の心理について学んでいきます.
講義資料(PDF形式)はSFC-SFS上に授業前日までにアップします.
また,本講義では担当教員による講義の他,運動生理学/運動心理学領域の第一線で活躍する研究者をゲストスピーカーとしてお招きし,特別講義をして頂く可能性もあります.
We humans are moving from our birth. By moving our body, we can see, touch, fell the world. Also, by moving our body, we can express ourselves and communicate with others. As such, our bodily movements are essentials for our life. In this course, by regarding our body and brain as a system, we are aiming to accumulate basis of humans, and reconsider our own health, by learning mechanisms behind our bodily movements.
Handouts will be uploaded on SFC-SFS before each class.
In this course, you may have special lectures from guest speakers for two times. Informations about the dates of special lectures will be arranged within a semester.
教材・参考文献
本講義は、主に以下の教材の「Part VI Movement」の内容を中心に展開していきます(購入の必要はありません)。また、適宜他の関連文献からも補足情報を提供していきます。
・Kandel ER, Schwartz JH, Jessel TM, Siegelbaum SA, Hudspeth AJ (ed). Principles of Neural Science. 5th ed., McGraw-Hill, 2012, 1760p.
提出課題・試験・成績評価の方法など
成績評価は最終試験(100点満点)の一発勝負です。ただし、毎回の講義で取り組んでもらう課題は5点満点で採点され、最終試験の減点分を補う形で利用します。
(例:最終試験90点+小レポート5点の者と、最終試験65点+小レポート30点の者は同じ「95点」として扱います)
【最終試験】講義最終回にオンライン試験を行ないます。試験範囲は授業で取り扱った内容すべて(ただしゲストスピーカーによる特別講演内容はのぞく)とし、すべての授業資料の閲覧可とします。講義内容の大枠の理解を問うような記述式試験とする予定です。最終試験を受験しなければ評価の対象とはなりません。
(※これまでの実績から,最終試験の予想平均点は55点〜60点程度です.)
【小レポート】毎回の講義で、それぞれの講義内容に関連して、いくつかの課題を出します。その内容に応じて、5点満点で評価します(標準的な内容の場合は3点)。講義終了30分後までに、これをSFS-SFS経由で提出してもらいます。原則的に時間外の提出は認めません。あきらかに講義内容を理解していないもの、不正行為が見受けられるものについては、評価しません。
最終的な評価基準は以下の通りです。
S:90点以上
A:80点〜89点
B:70点〜79点
C:60点〜69点
D:59点以下
1, Final examination (100 points)
In the final class, you will have a final examination online. You can see any materials when taking the examination.
2, Assignments
In each class, you are required to answer to some questions and submit short repots via SFC-SFS . Depending on the report contents, you get 1-5 points (average, 3 points).
Evaluation is based on final examination score.
Assignments points will be used to make up for point deduction of final examination.
S: >=90 points
A: 80-89 points
B: 70-79 points
C: 60-69 points
D: =<59 points
※Predicted average score of final presentation is about 55-60 points.
履修上の注意
上記の成績評価の方法を見てもらえばわかりますが,
小レポート点は出席点ではありません.また,出席することは好成績をとるための必要条件でもありません.ビデオ録画もしますので、後日授業内容を独学でフォローアップすることも可能です.
欠席した回の授業内容について,質問などがある場合には喜んでバックアップしますが,
公欠届をはじめとした「出席の配慮」は一切しませんので注意してください.
本講義では,授業というコンテンツを介した教員との対話に対して,小レポート点として一定の評価を与えていきます.
As written above, assignments are not the checks of your attendance. Also you can review the contents through video materials. Please come to take classes only when you are interested in each topic.
授業計画
第1回 イントロダクション
[Introduction]
生理学とはどんな学問か?心理学とはどんな学問か?私たちの身体運動はどのように成り立っているのか?本講義への導入として,こうした基本事項について概説するとともに,講義の目的/授業計画/成績評価方法について説明します.
Introducing the purpose and plan of this course, and explaining the way of evaluation
第2回 脳と運動
[Brain and Movement]
我々人間の運動はどのような生理的プロセスを経て調整されるのか?運動に関わるさまざまな脳領野,脳と身体をつなぐ神経経路について概説し,今後の講義の地盤を築いていきます.
Understanding basic nervous systems related to our movements within the brain and body
第3回 筋・骨格系(1)
[Musculoskeletal systems (1)]
骨は何のためにあるのか?筋肉は何のためにあるのか?身体各部位の筋・骨格系の構造(解剖学)と機能(生理学)の関連性について,概説していきます.
Understanding basic anatomical and physiological knowledge of muscles and bones
第4回 筋・骨格系(2)
[Musculoskeletal systems (2)]
神経−筋系の最小機能単位である「運動単位」が集団としてどのように活動することで筋力が生み出されるか,筋収縮のメカニズムについて理解を深めます.また,骨格筋のもつ静的・動的機能特性についても解説を加えていきます.
Understanding physiological mechanisms of our muscle contraction
第5回 随意運動(1) 脳と身体の配線構造
[Voluntary movements (1)]
脳における運動指令の出力領域である一次運動野について,その解剖学的特徴を概説します.また,一次運動野が果たす運動制御への機能的意義について考察していきます.
Understanding basic anatomical and physiological knowledge of nervous system generating and/or modulating our movements
第6回 随意運動(2) 運動制御・学習
[Voluntary movements (2)]
運動制御の無意識性(知覚と行動の乖離)・運動学習の潜在性(手続き記憶に基づく学習)について,心理物理的な実験アプローチによるさまざまな研究事例を紹介していきます.
Understanding psychological processes of more motor learning
第7回 ロコモーション
[Locomotion]
我々人間の重要な移動手段である歩行・走行がどのように無意識下で調整されているのか?障害物に遭遇した際にどのように意識的な調整が加わるのか?ロコモーション制御の生理的・心理的プロセスを概説していきます.
Understanding physiological and psychological mechanisms of our locomotion
第8回 運動障害とリハビリテーション
[Movement disorders and rehabilitation]
脳卒中・パーキンソン病・脊髄損傷などの神経疾患・障害について,その原因や引き起こされる運動障害を概説します.また,現在進行形で取り組まれている先端リハビリテーションについて紹介していながら,リハビリテーションの意義についても考えていきます.
Understanding the reasons and disabilities related to some neural disorders such as stroke, spinal cord injury and Parkinson's disease, and reviewing some ongoing neural rehabilitations
第9回 律動と同期
[Oscillation and Synchronization]
この世界に存在する様々な「同期」と「律動」の事象を概観しながら,身体運動時にみられる脳と筋のシンクロ現象について考えていきます.
Understanding functional roles of neural oscillation and synchronization for our motor control
第10回 これまでのまとめ
[Summary of the course]
これまでの授業内容を振り返り,翌週のテスト対策をします.
Reviewing the contents explained in the past classes and preparing for the final examination
第11回 最終試験
[Final examination]
授業時間内にて、オンライン最終試験をとりおこないます。
Taking final examination online /Re-examination
第12回 アスリートの身体
[Athletes' body]
ビデオ教材を用いて,誰もが知るトップアスリートの筋・骨格系の構造と機能について理解しながら,スポーツがもたらす身体可塑性ついて考えていきます.
Viewing video's related to miracles of athletes' body, and considering bodily plasticity induced by sports.
第13回 随意運動(3)
[Voluntary movements (3)]
前運動皮質と後頭頂皮質についてそれぞれ概説し,感覚と運動の統合過程や運動計画の成り立ちについて理解を深めていく.とくに到達運動/把持運動中のサルのニューロン記録研究などの事例を交えて解説していく.
Understanding anatomical features of premotor cortex and parietal cortex, and neural processing related to motor planing and sensorimotor integration.
第14回 特別講義(1)
[Guest Talk (1)]
運動の生理学・心理学研究の第一線で活躍する研究者をゲストスピーカーとして招聘し,世界の感覚研究のトレンドや現在進行形の研究テーマについて概説していただきます.これまでに学んだ基礎事項を踏まえつつ,最先端の研究に触れることにより,運動機能の奥深さにより一層興味を抱くきっかけとしてほしいと思います.
Taking special lectures from an up-and-coming scientist in the field of sensory physiology and psychology
第15回 特別講義(2)
[Guest Talk (2)]
運動の生理学・心理学研究の第一線で活躍する研究者をゲストスピーカーとして招聘し,世界の感覚研究のトレンドや現在進行形の研究テーマについて概説していただきます.これまでに学んだ基礎事項を踏まえつつ,最先端の研究に触れることにより,運動機能の奥深さにより一層興味を抱くきっかけとしてほしいと思います.
Taking special lectures from an up-and-coming scientist in the field of sensory physiology and psychology
15回目に相当するその他の授業計画
質疑応答
Qs and As