70002
アカデミックプロジェクト
ACADEMIC PROJECT

1 単位
実施形態
開催日程 秋学期
担当教員 田島 英一:鄭 浩瀾（タジマ エイイチ:テイ コウラン）
関連科目
開講場所 SFC
授業形態 実習・演習
履修者制限
履修条件

使用言語 日本語
連絡先 sfc.china.lab@gmail.com
授業ホームページ
同一科目

学生が利用する予定機材/ソフト等

設置学部・研究科 政策・メディア研究科
大学院プロジェクト名

Lifeworld and Publicness
大学院プロジェクトサブメンバー

ゲストスピーカーの人数 0
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GIGAサティフィケート対象
最終更新日 2020/06/26 17:58:46

科目概要

　グローバリズムもしくはグローバリゼーションとナショナリズムの関係をめぐる議論については、対立的な関係にあるとする立場や、両者は共犯関係にあるとする考え方がある。基本的に、前者が、貿易自由化問題に典型的に見られるように、グローバリゼーション＝世界の均質化やグローバルスタンダードに対抗するナショナリズム＝国民文化や国益の擁護を前提とするのに対し、後者は、グローバリゼーションもナショナリズムも、経済や文化・社会の均質化という意味では同じ現象であり、それが国境を跨いで生起する場合にグローバリゼーションと呼ばれるにすぎず、ナショナリズムはグローバルな他者との接触によって生ずるという意味において、両者は互いに高めあう補完的な関係にあると捉える。そして、グローバリゼーションはグローバルなレベルでの均質化を促進すると同時に、国内では格差を助長するというパラドキシカルな現象でもあるとも指摘する。したがって、国内ではサブナショナルなレベルでの反グローバリゼーション・反ナショナルな運動が活発化するというローカリズムも予想される。 　本プロジェクトの基本的な視座は、グローバリズムをナショナリズムやローカリズムに対立させて二者択一を迫るような議論は不毛であり、現実をも反映していないのではないかというものである。グローバリズムとナショナリズム・ローカリズムは、対立と共犯（依存）という二重の関係性の中に置かれると考えるからである。 　以上をふまえ、本プロジェクトでは、イデオロギーとして語られることの多いグローバリゼーションとナショナリズム・ローカリズムの関係を地域や事例に即して具体的に考察するため、さまざまな国・地域におけるグローバリゼーションとナショナリズム・ローカリズムの相互作用（融合・対立）、それぞれの変容、およびその中における国家（政府）・市民社会・共同体などの組織の役割・機能について比較分析することを目的とする。 　具体的には、各自の研究発表および文献の紹介・輪読を中心にして授業をすすめる。なお、担当者3人の現在の研究テーマは、田島が中国の宗教系NPOの社会福祉活動と市民社会形成の可能性、鄭が中国の農村問題と中国現代史である。

On the relationship between globalism and nationalism, some say it is confrontational, while others say it is cooperative. The former basically assumes that globalism means homogenization of the world while nationalism means protection of national culture and national interest. By contrast, the latter recognizes that both of globalism and nationalism mean homogenization of culture and local society, and nationalism is only reaction of globalism, and therefore both of them are complementary. The latter also points out that, while globalism means homogenization in global sphere, it creates economic inequality in domestic sphere, so it is a typical paradoxical phenomenon. If so, we can predict a rise of anti-globalism or localism movement in domestic sphere.
Our basic viewpoint is that we should not consider globalism as alternative of nationalism or localism, because globalism, nationalism and localism are not only confrontational but also cooperative, the relationship among them is seriously ambivalent. To consider this complex relationship, we will investigate interactions between globalism, nationalism and localism, and the roles of nation states, civil societies and communities in such interactive contexts in various areas in the world. Specifically we will deepen our investigation mainly through reading circle, discussion and presentations on each member's research.

The teaching staffs' subjects of research:

1.TAJIMA Eiichi (Professor of Faculty of Policy Management)
Civil society and religious associations in China.

2.ZHENG Haolan (Associate Professor of Faculty of Policy Management)
Governance and publicness in rural China, modern Chinese history.


授業シラバス

主題と目標／授業の手法など

グローバリズムもしくはグローバリゼーションとナショナリズムの関係をめぐる議論については、対立的な関係にあるとする立場や、両者は共犯関係にあるとする考え方がある。基本的に、前者が、貿易自由化問題に典型的に見られるように、グローバリゼーション＝世界の均質化やグローバルスタンダードに対抗するナショナリズム＝国民文化や国益の擁護を前提とするのに対し、後者は、グローバリゼーションもナショナリズムも、経済や文化・社会の均質化という意味では同じ現象であり、それが国境を跨いで生起する場合にグローバリゼーションと呼ばれるにすぎず、ナショナリズムはグローバルな他者との接触によって生ずるという意味において、両者は互いに高めあう補完的な関係にあると捉える。そして、グローバリゼーションはグローバルなレベルでの均質化を促進すると同時に、国内では格差を助長するというパラドキシカルな現象でもあるとも指摘する。したがって、国内ではサブナショナルなレベルでの反グローバリゼーション・反ナショナルな運動が活発化するというローカリズムも予想される。 　本プロジェクトの基本的な視座は、グローバリズムをナショナリズムやローカリズムに対立させて二者択一を迫るような議論は不毛であり、現実をも反映していないのではないかというものである。グローバリズムとナショナリズム・ローカリズムは、対立と共犯（依存）という二重の関係性の中に置かれると考えるからである。 　以上をふまえ、本プロジェクトでは、イデオロギーとして語られることの多いグローバリゼーションとナショナリズム・ローカリズムの関係を地域や事例に即して具体的に考察するため、さまざまな国・地域におけるグローバリゼーションとナショナリズム・ローカリズムの相互作用（融合・対立）、それぞれの変容、およびその中における国家（政府）・市民社会・共同体などの組織の役割・機能について比較分析することを目的とする。 　具体的には、各自の研究発表および文献の紹介・輪読を中心にして授業をすすめる。なお、担当者５人の現在の研究テーマは、山本がメキシコ南部のコーヒー生産者協同組合のフェアトレード運動、田島が中国の宗教系NPOの社会福祉活動と市民社会形成の可能性、鄭が中国共産党と農村問題について、鄭が中国の農村問題と中国現代史である。

On the relationship between globalism and nationalism, some say it is confrontational, while others say it is cooperative. The former basically assumes that globalism means homogenization of the world while nationalism means protection of national culture and national interest. By contrast, the latter recognizes that both of globalism and nationalism mean homogenization of culture and local society, and nationalism is only reaction of globalism, and therefore both of them are complementary. The latter also points out that, while globalism means homogenization in global sphere, it creates economic inequality in domestic sphere, so it is a typical paradoxical phenomenon. If so, we can predict a rise of anti-globalism or localism movement in domestic sphere.
Our basic viewpoint is that we should not consider globalism as alternative of nationalism or localism, because globalism, nationalism and localism are not only confrontational but also cooperative, the relationship among them is seriously ambivalent. To consider this complex relationship, we will investigate interactions between globalism, nationalism and localism, and the roles of nation states, civil societies and communities in such interactive contexts in various areas in the world. Specifically we will deepen our investigation mainly through reading circle, discussion and presentations on each member's research.

The teaching staffs' subjects of research:

1.YAMAMOTO Junichi (Irregular staff who holds academic meetings in ATAMI)
Cooperative associations and fair trade movement coffee farmers in southern Mexico.

2.TAJIMA Eiichi (Professor of Faculty of Policy Management)
Civil society and religious associations in China.

3.ZHENG Haolan (Associate Professor of Faculty of Policy Management)
Governance and publicness in rural China, modern Chinese history.


教材・参考文献

野村亨・山本純一編（2006）『グローバル・ナショナル・ローカルの現在』慶應義塾大学出版会
田島英一・山本純一編（2009）『協働体主義』慶應義塾大学出版会
厳網林・田島英一編（2013）『アジアの持続可能な発展に向けてー環境・経済・社会の視点から』慶應義塾大学出版会

提出課題・試験・成績評価の方法など

各自の研究報告の内容と授業への参加度を総合して評価する。

履修上の注意

授業計画

第1回