A1102
研究会B
SEMINAR B
研究プロジェクト科目
Research Seminars
2 単位

統治機構研究
governnance structures study

開催日程 秋学期 月曜日3時限
担当教員 松井 孝治(マツイ コウジ)
関連科目 前提科目(推奨): B6163,C1071,C1050
授業形態 講義、ディスカッション、演習
履修者制限
履修条件

使用言語 日本語
連絡先 kmatsui@sfc.keio.ac.jp
授業ホームページ
設置学部・研究科 総合政策・環境情報学部
大学院プロジェクト名

大学院プロジェクトサブメンバー

ゲストスピーカーの人数
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GIGAサティフィケート対象
最終更新日 2020/07/06 15:16:09

研究会概要

目的・内容

【前提】教官は、中央省庁(通商産業省)で行政経験を積むとともに、官僚として首相官邸に出向し、政治と行政の接点を体験しました。その過程で縦割り行政や官邸の空洞化の問題点を痛感し、いわゆる橋本行革(橋本龍太郎内閣における首相官邸機能強化と省庁再編などの改革)の一翼を担いました。その間、政界、官界に加え産業界まで巻き込んだ様々なロビイング、政官業のトライアングルの問題を実感し、これを克服すべく政界に転じました。

2期12年の任期中に官房副長官なども経験し、政治主導確立法案や国家公務員制度改革法案をとりまとめ、国家戦略局の設置や内閣人事局の設置の政府方針も決定しましたが、わが国特有の政府・与党の関係は変わらず、政府機構改革も内閣人事局の設置以外の多くは実現に至っておらず、今後の課題です。当時提唱した「新しい公共」については、税法改正による寄附税制の導入やNPO法の改正により一定の進展がみられているものの、実際の社会変革は今後の課題で、まさに学生諸君の双肩にかかっています。

【研究会の内容】本研究会においては、公共圏の改革の在り方の研究を行いますが、内容は大別下記三点です。

一つ目は、公共圏の骨格を形成する、統治機構、すなわち、国会、内閣(首相官邸・中央省庁)、政党等から形成される既存統治機構の組織、運営、改革についての考察と提言です。国会改革、行政組織改革、政と官の関係、政府与党関係など多様な研究テーマが考えられます。

二つ目は、「新しい公共」の実践研究です。法律や条例、予算などを決定・執行し、民主主義の制度を担っているのは、上述した狭義の統治機構であり、いわゆる「公助」中心の世界ですが、実際に人々に各種の行政・公共サービスの担い手となっているのは、医療にせよ、教育にせよ、福祉にせよ、まちづくりにせよ、民間法人や地域における人々の連携が極めて重要です。
より豊かな公共サービスが提供されるためには、国・地方などの官庁組織と、NPOや地域コミュニティ、民間企業などが互いに連携して公共的サービスを充実させる必要があり、今後ますます「共助」の重点化が必要です。これらの実態を考察し、さまざまの担い手の連携による公共的サービスの充実のための方策を検討する必要があります。

三つ目は、国民と政治の距離をいかに埋めるかという課題です。国民の政治への関心の低下は、国民の政治や行政へのガバナンスを低下させ、いびつな政策資源配分を生むのみならず、一つ間違えば権力の暴走をも抑止できません。国民が主権者として政治に参画するためのよりよき手法の検討を行うことも大切なテーマです。

今年度以降も、引き続き上記についての文献講読を行い、或いは個別の公共的プロジェクトへの実地調査を奨励しつつ、学生諸君が、新たな統治のあり方について、上記三点のいずれかにつき、研究提言を取りまとめる活動に携わることを期待しています。

評価方法

書籍・論文講読(輪読)、実地調査報告、研究進捗状況報告、タームレポートその他研究会への貢献の総合評価

教材・参考文献

松井孝治 政策論争できない国会を改める時だ、正論2020.5
松井孝治 ポピュリズムに打ち克てるか、Voice2020.4
松井孝治 若手官僚の悲鳴を受け止め、令和の統治機構改革を断行せよ、中央公論2019.11
松井孝治、真の野党再生論、Voice2018.7
松井孝治、国会改革を再起動し、”令和デモクラシー”を、中央公論2019.6
松井孝治、平成の統治機構改革の回顧と展望、SFCジャーナル2018秋号
松井孝治、清水真人、牧原出、官を酷使する「政治主導」の歪み 中央公論2018.6
清水真人、平成デモクラシー史、ちくま新書、2018
松井孝治、官邸のリーダーシップとは何か、世界2014.5、no.856、p.144-152
松井孝治、民主党の政権戦略とその挫折、世界2014.7、no.858、p.225-233
松井孝治、「公」を紡ぎ直し、「質的成長」へと転換するために、世界2015.7、no.865、p232-241
黒澤明監督 映画「七人の侍」東宝1954

関連プロジェクト

課題

輪読方式による文献講読に基づく報告・解説・議論
個別の公共的プロジェクトの実地調査報告・解説・議論
研究進捗報告と議論
タームレポートの作成・提出

来期の研究プロジェクトのテーマ予定

文献輪読は、教員からも提案しますが、参加学生による具体的なテーマ設定、提案を期待します。
実務者へのインタビューを行うなど、実践的な研究を歓迎します。
特に「新しい公共」に関する研究については実際の公共的プロジェクトについての実地調査を期待します。

その他・留意事項

原則オンラインで実施しますが、新型コロナウイルスの流行状況次第で、できたら一度はオンキャンパスで顔を合わせ議論する機会を持ちたいと考えています。

授業スケジュール