B6133
パーソナリティ発達論
PERSONALITY DEVELOPMENT 		先端導入科目-環境情報-生命と身体
Frontier Courses (Intermediate) - Environmental Information - Life Science
2 単位
実施形態 完全オンライン
開催日程 秋学期 金曜日２時限
担当教員 濱田 庸子（ハマダ ヨウコ）
関連科目 前提科目（関連）: 90550,C1145,C2053,44080
開講場所 SFC
授業形態 講義、遠隔あり
履修者制限
履修条件

 

 

自分自身の育ってきた歴史を振り返り、レポートを書くことができること。

Student who is able to reflect on his/her own developmental history and writes report on it.
使用言語 日本語
連絡先 yhamada@sfc.keio.ac.jp
授業ホームページ
同一科目

 

 
学生が利用する予定機材/ソフト等

 

 
設置学部・研究科 総合政策・環境情報学部
大学院プロジェクト名

 
大学院プロジェクトサブメンバー

 

 
ゲストスピーカーの人数 0
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GIGAサティフィケート対象
最終更新日 2020/07/22 09:20:57

Additional Information about language support on this course

Language used in each of the course components

Lecture
Material Mainly Japanese
Discussion Mainly Japanese
Group work Mainly Japanese
Presentation

 

Level of Japanese language skill necessary for the course

Reading Should be able to read newspapers/books and write reports.
Writing Not necessary. There will be no problems without any Japanese language skill.
Speaking Should be able to generally understand TV news or lectures and discuss certain topics.
Listnening Not necessary. There will be no problems without any Japanese language skill.

 

 

Other

 

科目概要

　人間のパーソナリティとはなにか､ それがどのように発達するのかについて､ 精神分析的発達理論を中心にして、フロイトから現代の乳幼児研究まで、代表的な研究者の理論を概説します。さらに発達の障害がどのような精神病理につながるのかを､自閉性障害、児童虐待を例に考察します｡さらに、レポート作成を通して、自分自身のパーソナリティの成り立ちについても、理解を深めることを目指します。
　。

This class deals with what human personality is and how it develops using psychoanalytical development theories from Freud to the modern infant researchers. And then it shows how disturbances in development lead to psychopathology, holding Autism Spectrum Disorders and the survivors of child abuse up as examples.
Students will deepen understanding of their own personality development through their report on personal history.

授業シラバス

主題と目標／授業の手法など

ひとのこころの働き、パーソナリティは、どのように発達するのだろうか。またその発達が障害された場合、どのような問題が生じるのだろうか。この講義では、精神分析的なこころの発達論から、現代の乳幼児研究にいたるパーソナリティ研究を概説し、乳幼児期からの養育環境との相互交流が、どのように成人のパーソナリティを作り上げるのかを理解できるようにしたい。また、各自が自分自身の育ってきた歴史を振り返るなどの作業を通して、パーソナリティを体験的に理解できることを目指す。さらに、パーソナリティの発達の障害がどのようなこころの問題を引き起こすかを紹介し、パーソナリティの基礎を作る乳幼児期の重要性を強調したい。

How personality, operation of human mind develops? And what problem will be induced by disturbance of its development? This course reviews personality studies from Freudian psychoanalytic psychosexual development to modern infant research, so that students can understand how adult personality has been built through interactions with child-rearing environment from infancy. This course aims to make each student have experiential understanding of personality development through reflection on his/her own developmental history. And how disturbances of development induce mental problems are discussed with special emphasis on the importance of infancy when basis of personality is built.

教材・参考文献

教材：毎回講義プリントを配布する

参考図書：

1)小此木啓吾他編、必携精神医学ハンドブック、創元社、1988、ISBN 4-422-11205-8
2)A.J.ザメロフ,R.N.エムディ著、井上果子他訳、早期関係性障害−乳幼児期の成り立ちとその変遷を探る、岩崎学術出版社、2003、ISBN 4-7533-0300-4
3)妙木浩之著、フロイト入門（ちくま新書２５４）、筑摩書房、2000、ISBN 4-480-05854-0
4)小此木啓吾、フロイト思想のキーワード（講談社現代新書１５８５）、講談社、2002、ISBN 4-06-149585-2
5)前田重治著、図説臨床精神分析学、誠信書房、1985、ISBN 4-414-40144-5
6)前田重治著、図説臨床精神分析学続、誠信書房、1994、ISBN 4-414-40170-4

そのほか、講義中に適宜紹介する

提出課題・試験・成績評価の方法など

毎回の講義動画視聴後に、講義内容の確認テストを行い、さらに期末レポートを課題とする。
講義確認テストと期末レポートを総合評価して期末の成績とする。

Students should take comprehension test after watching each lecture video, and should submit term report.

The final grade will be based on comprehension tests and term report.

履修上の注意

この科目は心的環境論履修のための前提科目なので、心的環境論を履修予定の学生は必ず履修してください。また濱田研究会への参加を希望する学生も、必ず履修してください。
自分自身の生育歴を振り返るレポートが課せられるため、振り返ることが難しい学生には、履修を勧めません。

This course is prerequisite for Mental environment and Hamada seminar.
This course is not recommended to the students who have difficulties in reflecting on their own childhood and infancy.

授業計画

事前準備　講義のイントロダクション

[Introduction]

この講義のねらい、履修上の諸注意、課題など、講義全体について説明する。

 

第1回 ,Freud：無意識の発見、夢と失錯行為
[Freud: Unconsciousness]

フロイドから現代までの精神分析の発展と、パーソナリティ研究の位置づけについて、概説する。
精神分析の創始者であるS.Freudがどのように無意識を発見したのか、
精神分析的な意識／無意識について、夢や失錯行為の実例をあげて説明す
る

 

 

第2回 Freud:自我の働きと防衛機制
[Freud: Ego and defense mechanism]

 

精神分析理論の基礎となる自我の働き、その中でも特に防衛機制について
説明する。さらにこの自我の考え方が、後のパーソナリティー論にどのよ
うにつながったかを、考える。

 

 

第3回 Freud:心理性的発達
[Freud: psychosexual development]

 

Freudが明らかにした心理性的発達は、その後のパーソナリティー発達研
究の一番基礎となる理論である。
その発達の考えを紹介し、Freud以降の研究の動向についても概説する。

 

 

第4回 Spitz，Harlow，Bowlby：母性剥奪、愛着理論
[Spitz, Harlow, Bowlby: Maternal deprivation and attachement theory ]

 

第２次世界大戦後に戦災孤児の研究から出発した母性剥奪の研究は、乳幼
児にとっての母親の重要性を明らかにした。愛着理論などについて紹介す
る

 

 

第5回 Mahler：分離個体化研究
[Mahler: Separation-individuation process research]

 

乳幼児と母親が一体感の中からどのように分離し、個体化するかを明らか
にしたMahlerの研究と、その発展について紹介する。

 

 

第6回 Klein：分裂−妄想ポジションと抑うつポジション
[Klein: Schizoid-paranoid position and depressive position]

 

英国で独自にFreud理論を発展させ、早期乳幼児期のこころの世界を明ら
かにしたKleinの理論を概説する

 

 

第7回 Winnicott：錯覚と脱錯覚
[Winnicott: Illusion and disillusion ]

 

英国の小児科医で精神分析医でもあったWinnicottは、わかりやすい言葉
で乳幼児のこころの世界と環境のかかわりについて述べている。
乳幼児精神保健の鍵となる概念を作ったWinnicottの理論を紹介する。

 

 

第8回 Emde：情緒応答性の研究とIFEELPictures
[Emde: Research on emotional availability and IFEEL Pictures]

 

乳幼児の発達における情緒応答性の役割を明らかにしたEmdeの研究を紹
介し、
Emdeらとわれわれが共同研究しているIFEEL　Picturesについて説明す
る。

 

 

第9回 Stern:自己感の発達と母性のコンステレーション
[Stern: Development of sense of self and motherhood constellation]

 

現在の乳幼児精神保健の指導的研究者であるSternの自己感の発達につい
ての理論と、初めて赤ちゃんを持つ母親に生じるこころの組織の変化であ
る母性のコンステレーションを紹介する

 

 

第10回 こころの発達理論のまとめとふり返り

 

ここまでの、こころの発達理論についてまとめとふり返りを行う。
レポートに向けて、履修者それぞれの幼少期の資料を集める

 

 

第11回 関係性障害１（自閉症スペクトラム障害）
[Relationship disorders 1 (Autism Spectrum disorders )]

 

乳幼児と養育者の関係性の体験によって、乳幼児あるいは養育者個人に
症状が出ることを、関係性障害という。関係性障害は乳幼児、養育者の
いずれかあるいは両方に問題があって生じる。
乳幼児側に障害があって生じる関係性障害の例として自閉症スペクトラム障害をとり
あげ、早期からコミュニケーションの障害を持つ自閉症児のこころの世
界を通して、早期の関係性の体験がどのように発達に影響しているかを
考える

 

 

第12回 関係性障害２（児童虐待）
[Relationship disorders 2 (Child abuse)]

 

養育者の側に問題があって生じる関係性障害の例として、児童虐待をと
りあげる。最近悲惨な事件が相次ぐ幼児虐待について、養育者はなぜ虐
待行動をとってしまうのか、そして被虐待児のパーソナリティーがどの
ように障害されるかを考える.

 

 

第13回 関係性障害３（児童虐待の影響）
[Relationship disorders 3(Survivors of child abuse)]

 

乳幼児期に受けた虐待は、パーソナリティ発達に深刻な影響を与える。さらなる虐待の連鎖につながる危険性もある。このような児童虐待の影響についても、考える。

 

 

第14回 レポートの作成
[Preparing for term report]

 

自分自身の育ってきた歴史をふり返り、講義で学んだ発達理論から考察する

 

 

第15回 レポートの推敲と提出
[Revising and submitting term report]

 

レポートを推敲し提出する