2020年秋学期 - 財政政策（国家） / PUBLIC FINANCE
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C1080 財政政策（国家） PUBLIC FINANCE |
先端開拓科目-総合政策-公共政策 Frontier Courses (Advanced) - Policy Management - Public Policy 2 単位 |
| 実施形態 | 完全オンライン |
| 開催日程 | 秋学期 月曜日４時限 |
| 担当教員 | 和泉 徹彦（イズミ テツヒコ） |
| 関連科目 |
前提科目（推奨）: C1067,C1066,31160,31150 前提科目（関連）: 41130 |
| 開講場所 | SFC |
| 授業形態 | 講義 |
| 履修者制限 |
履修人数を制限する Only the selected students can take this course. |
| 履修条件 |
初歩的な経済学の知識 Basic knowledge of Economics |
| 使用言語 | 日本語 |
| 連絡先 | izumit@sfc.keio.ac.jp |
| 授業ホームページ | |
| 同一科目 | |
| 学生が利用する予定機材/ソフト等 |
PC, zoom, keio.jpアカウント PC, zoom, keio.jp account |
| 設置学部・研究科 | 総合政策・環境情報学部 |
| 大学院プロジェクト名 | |
| 大学院プロジェクトサブメンバー | |
| ゲストスピーカーの人数 | 0 |
| 履修選抜・課題タイプ=テキスト登録可 | false |
| 履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 | false |
| GIGAサティフィケート対象 | |
| 最終更新日 | 2020/07/22 15:09:05 |
科目概要
財政には政府の歳入活動と支出活動がある。前者には租税と公債，後者には公共投資と社会保障という柱がある。構造改革や事業仕分けとして話題になってきた問題の多くは民主主義的な意思決定を経ない財政支出をいかに抑制するかが核心であった。少子高齢化が進んでいる今だからこそ，地方分権を目指した地方行財政改革あるいは国・地方の債務といった重要課題は解決の道筋をつけることが求められている。この講義では国の歳入（収入）と歳出（支出）について学ぶ学問である財政学の標準的な知識と理論を理解し，現在のわが国をとりまく重要な財政問題について考えることを目的とする。個別的には社会保障制度（医療・年金・福祉）、歴史的経緯に見方が偏りがちな租税システムについて公平な税制とは何かを検討したい。
Theory and Analysis of Public Finance for Central Government
This course aims to understand the standard knowledge and theory of public finance, which is the study of revenue and expenditure of the country, and to consider the important fiscal issues surrounding our country today. Individually, we will examine what constitutes a fair tax system with respect to social security systems (e.g. medical care, public pension system and social welfare) and the tax system, which tends to be biased in its historical context.
授業シラバス
主題と目標／授業の手法など
財政には政府の歳入活動と支出活動がある。前者には租税と公債，後者には公共投資と社会保障という柱がある。構造改革や事業仕分けとして話題になってきた問題の多くは民主主義的な意思決定を経ない財政支出をいかに抑制するかが核心であった。少子高齢化が進んでいる今だからこそ，地方分権を目指した地方行財政改革あるいは国・地方の債務といった重要課題は解決の道筋をつけることが求められている。この講義では国の歳入（収入）と歳出（支出）について学ぶ学問である財政学の標準的な知識と理論を理解し，現在のわが国をとりまく重要な財政問題について考えることを目的とする。個別的には社会保障制度（医療・年金・福祉）、歴史的経緯に見方が偏りがちな租税システムについて公平な税制とは何かを検討したい。授業は講義形式で行う。
国家財政の抱える問題点と改革の方向性について根拠に基づいて議論できるようになることを目標とする。
細分化された到達目標は以下の通りである。
(1)公共部門が市場経済に介入すべき理論的枠組みの理解
(2)国の歳出がもたらす具体的な影響と介入手段への理解
(3)国の歳出における社会保障の仕組みへの理解
(4)租税システムと公平な運用に関する理解
＜講義の方法＞
オンデマンド講義動画＋リアルタイムZoom質疑応答の反転授業形式ハイブリッド型で実施します。
各回のトピックに提示された、講義資料PDF、講義動画（YouTube）、授業時課題（該当回のみ）、Zoom質疑応答（15:35入室開始、15:45説明開始）によって構成されます。Zoom質疑応答ではチャットに書き込まれた質問について説明します。
This course aims to understand the standard knowledge and theory of public finance, which is the study of revenue and expenditure of the country, and to consider the important fiscal issues surrounding our country today. Individually, we will examine what constitutes a fair tax system with respect to social security systems (e.g. medical care, public pension system and social welfare) and the tax system, which tends to be biased in its historical context.
The subdivided targets are as follows;
1) Understanding for the theoretical framework for a public sector intervention
2) Understanding for the effects and the tools of annual expenditure
3) Understanding for the social security system including medical care, public pension system and so on
4) Understanding for the fair tax theory and system
A hybrid format of on-demand YouTube lecture + real-time zoom Q&A will be used.
Resources are Slides PDF, YouTube link, zoom link and Assignment (applicable times only).
Zoom meeting starts at 15:35 and Q&A starts at 15:45, and you can type your questions in the chat.
教材・参考文献
【テキスト】
畑農鋭矢・林正義・吉田浩. 財政学をつかむ 新版. 東京, 有斐閣, 2015, 360p.（ISBN978-4641177239)
提出課題・試験・成績評価の方法など
授業時課題：50％
期末レポート課題：50％
Classroom Assignment: 50%.
Final report assignment: 50%.
履修上の注意
テキストを採用しているが、授業回によってはより発展的な内容を取り扱う場合もある。
講義資料、講義動画リンク、Zoomミーティングリンクなどの転送・転載・送信は禁止します。
The first half is advanced along the textbook.The second half treats the political issues.
Forwarding, reprinting, or transmitting lecture materials, lecture video links, Zoom meeting links, etc. is prohibited.
授業計画
第1回 講義概要説明「国のお財布を知る」
[Introduction]
現代経済において公共部門が拡大している状況は財政学によって説明しうる領域の拡大と解釈することができる。講義の進め方に関する概要説明に続いて，財政学の基礎を説明する。
Providing an introduction of the class and the fundamentals of public finance
第2回 市場と効率性
[Market and Efficiency]
市場がうまく機能することを前提とした厚生経済学の第1基本定理および第2基本定理をとりあげる。ここでは市場機能によって実現される経済学的な効率性への理解を求める。
Market principle and the basics of Welfare Economics
第3回 外部性
[External Economy]
市場の失敗の典型例として外部性がある。外部性の存在による資源配分上の問題とその解決方法について取り上げる。
External Economy as typical market failure
第4回 公共財
[Public Goods]
市場の失敗の例には公共財の供給がある。排除不可能性と非競合性によって特徴付けられる公共財供給を巡る問題について取り上げる。
Public goods as non-rivalrous and non-excludable
第5回 社会厚生・効率性と再分配政策
[Welfare and Efficiency, and Redistributive Policies]
再分配政策と、その根拠となる「社会厚生」と「パレート改善（効率性）」を検討する。
We examine redistributive policies and the social welfare and Pareto efficiency on which they are based.
第6回 景気安定化機能
[Business Stabilization]
政府の役割として、予期できない所得変動リスクに対して異時点間の所得平準化を行うことが求められる。ケインズ型の裁量的財政政策と自動安定化装置について取り上げる。
The government's role is to provide income equalization across different points in time against the risk of unanticipated income fluctuations. We will address Keynesian discretionary fiscal policy and automatic stabilizers.
第7回 公営企業と規制産業／政府の失敗
[Public Company and Regulated Industry / Public Choice]
公共セクター（政府・地方公共団体）が運営する企業体である公営企業と、地域独占が認められた電力やガスのような規制産業について取りあげる。さらに公共選択論に基づく政府の失敗について解説する。
We will cover public enterprises, which are corporate entities run by the public sector (government and local governments), and regulated industries such as electricity and gas, which have been granted local monopolies. It will also explain the failures of government based on public choice theory.
第8回 マイナンバー制度
[”My Number" the ID for tax and social security]
番号制を巡る歴史からたどるマイナンバー活用の意義を解説し、マイナンバー制度を構成するマイナンバー・マイナンバーカード・マイナポータルを取り上げる
The my number system, which is the ID for tax and social security, consists of my number, my number card, and the My Number Portal.
第9回 社会保障：公的年金制度
[Public Pension]
2004年に改革がなされた年金制度は，なお持続可能性を高めるための改革が検討されている。過去の改革による変更内容に加えて，先進諸国の年金制度と比較した日本の年金制度の得失について概観したい。
Introducing the public pension reform in Japan in 2004
第10回 社会保障：医療保障
[Medical Care and Social Insurance]
現実の財政支出をみたとき，医療費の増大が国民の関心を呼んでいる。社会保障システムの重要性は将来的にも薄れることはないと考えられている。日本の医療費支出の構造と傾向は財政分析の大きな対象である。
Examine the Japanese healthcare system and the structure of healthcare expenditure
第11回 社会保障：高齢者介護
[Longterm Care]
高齢者が治療を終えたら、速やかに介護サービスへと引き継ぐことが、本人の生活の質を保ち、社会保障費用を節約することにつながることを試算する
When an elderly person finishes treatment, passing them on to care services as soon as possible can help maintain their quality of life and save on Social Security costs.
第12回 社会保障：育児支援・教育
[Family Support and Education]
育児支援・教育には少子化対策の側面と次世代育成の側面とがある。幼児教育から高等教育まで無償化が完成したことについて検討する。
Importance of Famity support and Education as an investment in the future's generation
第13回 租税システム
[Theory of Tax System]
租税システムが民間経済活動に中立的であることの重要性と，現状ではどのような税制が敷かれているかについてとりあげる。
A tax system be neutral in private economic activity
第14回 公平な税制
[Fair Tax System]
所得税や消費税を取り上げて，どのような課税標準（課税対象・期間など）を定めると公平な税制と言えるのかついて検討する。
Consider what kind of tax base would be fairest for the tax system
第15回 財政運営と世代の視点
[Fiscal Management and Generational Aspects]
財政赤字を中心とした財政運営について，そして将来世代の負担について焦点をあてて考える
The angle of the financial operation and the generation: Focusing about burden differences in the generations
15回目に相当するその他の授業計画
財政運営と世代の視点：財政赤字を中心とした財政運営について，そして将来世代の負担について焦点をあてて考える。
The angle of the financial operation and the generation: Focusing about burden differences in the generations