B6148
人工知能論
ARTIFICIAL INTELLIGENCE
先端開拓科目-環境情報-情報とメディア
Frontier Courses (Advanced) - Environmental Information - Information and Media
2 単位
実施形態 完全オンライン
開催日程 秋学期 月曜日4時限
担当教員 諏訪 正樹(スワ マサキ)
関連科目 前提科目(関連): C2029,B6048,04200,34030
開講場所 SFC
授業形態 講義、グループワーク
履修者制限

履修人数を制限する

受入学生数(予定):約 70 人
選抜方法:課題提出による選抜

【課題内容】
これだけコンピュータが賢くなって,人工知能がもてはやされても,まだまだひとの知を超えるものではない.もし,ひととコンピュータとどちらが賢い?と尋ねられたら,多くの人が「ひと」と答え,その理由に「柔軟にものごとを考えられるから.臨機応変に振る舞えるから」を挙げるであろう.



では,柔軟さや臨機応変さとは何か?

それをこの授業では考える.



履修選抜の課題として以下を挙げる.



世の中には、柔軟で臨機応変なる知を発揮している人がたくさんいる。ある一人の人の柔軟さを源とするというよりは、むしろ、組織自体が柔軟で臨機応変な行動原理を有している場合もある。



そこで、自分の生活の中で、もしくは身の回りのことで、自分が遭遇した「これぞ柔軟な知,もしくは臨機応変なる知の姿」と思える瞬間を切り取り,それについて論じよ.



(これこれこんな知で,それはこれこれこんな点で柔軟で臨機応変で素晴らしいのだ!と論じる)



文字制限:500字

提出フォーマット:PDF文書



◯エントリー〆切日時:2020年9月28日(月) 17:00
◯履修許可者発表日時:2020年9月30日(水) 17:00

◯ファイル登録

Only the selected students can take this course.

Number of students in the class (scheduled) : About 70
Pre-registration screening by submitted an assignment

【ASSIGNMENT】
これだけコンピュータが賢くなって,人工知能がもてはやされても,まだまだひとの知を超えるものではない.もし,ひととコンピュータとどちらが賢い?と尋ねられたら,多くの人が「ひと」と答え,その理由に「柔軟にものごとを考えられるから.臨機応変に振る舞えるから」を挙げるであろう.



では,柔軟さや臨機応変さとは何か?

それをこの授業では考える.



履修選抜の課題として以下を挙げる.



世の中には、柔軟で臨機応変なる知を発揮している人がたくさんいる。ある一人の人の柔軟さを源とするというよりは、むしろ、組織自体が柔軟で臨機応変な行動原理を有している場合もある。



そこで、自分の生活の中で、もしくは身の回りのことで、自分が遭遇した「これぞ柔軟な知,もしくは臨機応変なる知の姿」と思える瞬間を切り取り,それについて論じよ.



(これこれこんな知で,それはこれこれこんな点で柔軟で臨機応変で素晴らしいのだ!と論じる)



文字制限:500字

提出フォーマット:PDF文書



* Schedule: TBD

履修条件

使用言語 日本語
連絡先 suwa@sfc.keio.ac.jp
授業ホームページ
同一科目

学生が利用する予定機材/ソフト等

設置学部・研究科 総合政策・環境情報学部
大学院プロジェクト名

大学院プロジェクトサブメンバー

ゲストスピーカーの人数 0
履修選抜・課題タイプ=テキスト登録可 false
履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 true
GIGAサティフィケート対象
最終更新日 2020/07/22 15:36:33

科目概要

我々人間は知識を学び、その場の状況に臨機応変に対応して知識を活用し、知的に生活を営んでいる.様々な体験からどのように知識を学ぶのか? 知識を使うとはどういう行為か? うまく使えるためには知識をどのように頭の中に蓄えていなければならないのか? “臨機応変に”とは「言うは易し行うは難し」であることは誰でも想像がつく.では、何ができれば“臨機応変に”対応できたと言えるのか? 人工知能とは、上記のような問いに答えるための学問である.
 過去半世紀の研究蓄積で多くのことが解明された。また現在、世の中を賑わしている(人工知能第三次ブームの源である)ディープラーニングは、工業的な適用範囲は広い。しかし、知能の臨機応変さについて、柔軟さについては、未だ多くのことが謎のままである.
 本講義では、人工知能や認知科学で提起された様々な概念(特にフレーム問題)を紹介し、身近な例題で“知識を表現”するという行為を実践することを通して,知の本質を学び、知能科学が進むべき方向性を議論する.概念の紹介、想定できる問題の列挙、グループ課題の発表、議論を繰り返す形式で授業を行う.

The core of the human intelligence lies in the fact that people learn and behave in a "situated" manner, dependent on the situation they are in. However, how human intelligence possesses that "situatedness" is still a mystery. Past researches on AI have not yet obtained any answers, even hypotheses.

Although the technology about deep learning is expected to bring huge impact on changes of the world, it theoretically will not give any answers to this problem at all.

This is the PROBLEM the current AI is faced with.
It is a high and hard obstacle. As long as the researchers do not get some ideas to go over it, the AI researches will not get a new future.

Having provided about this problem of AI, this lecture aims to encourage students think of their own intelligence.

授業シラバス

主題と目標/授業の手法など

我々人間は知識を学び、その場の状況に臨機応変に対応して知識を活用し、知的に生活を営んでいる.

「知識」とは何か? 我々は知的な生活を営むためにどのような「知識」を持ち、どうそれを利用しているのか? また身体の存在は知識の活用や獲得にどう関係しているのか?
それがこの授業の主題である.

人工知能は、簡単に言うならば、上記の問いの探究をしてきた学問である.
過去数十年の研究成果から、人間の知能の成り立ちに関して理解がかなり進んで来たが、それと同時に、人工知能と人間の間には未だかなりの距離があることも判明して来た.

人工知能の様々な概念を学びながら、そこで実現されることが人間と比べて何がどう足らないのか、違うのかを常に問いながら本授業を履修して欲しい.(毎回の授業の最後にその種の議論を行う予定).それが人間の「知」をより深く理解する/探究することにつながる.

概念の紹介、想定できる問題の列挙、グループ課題の発表、議論を繰り返す形式で授業を行う.
各自もしくは2、3人で構成するグループに一台、コンピュータを用意する必要あり.

The core of the human intelligence lies in the fact that people learn and behave in a "situated" manner on the fly, dependent on the situation they are in. However, how human intelligence possesses that "situatedness" is still a mystery. Past researches on AI have not yet obtained any answers, even hypotheses.
Although the technology about deep learning is expected to bring various impact on changes of the world, it theoretically will not give any answers to this problem at all.

This is the PROBLEM the current AI is faced with.
It is a high and hard obstacle. As long as the researchers do not get some ideas to go over it, the AI researches will not get a new future.

Every time, students need to bring their own computer, because we will use SFS intensively.

Group discussion will be used often through all the classes.

教材・参考文献

『身体が生み出すクリエイティブ』(諏訪正樹、筑摩書房)を教科書とします。
履修者は2回目授業までに読んでおくことを勧める。

以下は参考図書。
R. Pfeifer & J. Bongard著,細田耕 石黒章夫 訳,知能の原理ー身体性に基づく構成論的アプローチ,共立出版,2010.(これは参考文献であり,授業で直接使うことは恐らくないが,興味がある人は是非読んで欲しい名著である)

諏訪正樹・藤井晴行共著『知のデザイン 自分ごととして考えよう』(近代科学社, 2015)
諏訪正樹著『「こつ」と「スランプ」の研究 身体知の認知科学』(講談社選書メチエ, 2016)

提出課題・試験・成績評価の方法など

3回くらいに一度の頻度で翌週までの課題が出て、それに応じて小さなグループ発表も行う.
試験はない(そのかわり最終レポート提出を課す).
出席、日々の議論(課題遂行の質、最終レポートの質から、総合的に評価を行う。

Group discussion will be often used.
There will be no final exam. Instead, students need to submit final report.

Overall evaluation will be done based on attendance to the class, the quality of daily discussions to assignments, and the quality of the final report.

履修上の注意

本授業は人工知能の「技術」を学ぶものではない.人工知能における問題を議論するなかから,その可能性と限界を理論的に考えられるようになり,近未来的な知の科学への先鞭とすることを目的にする授業である.ひとことでいえば,「知識記述を実践的に行う」ことを通して「人工知能的なものの考え方」を学習する授業である.技術を駆使して人工知能システムを将来つくりたい人,知の科学はどうあるべきかを問いたい人,人間の知の本質を議論したい人など,様々な研究意図の基礎的思想を学ぶ授業である.総じていえば,知的な生きものである我々が、自分の知は如何に成り立っているのかを考えることが本授業の本質であり,その行為は我々の日常の意識を変革するだけのパワーを潜在的にもっていることを理解し,そういう観点で世界をみつめなおしてもらいたいと願って行う授業である.

なお、本授業は履修選抜を行う。
履修選抜に合格したのに初回授業から履修をやめる学生が数多くいるという現状には、遺憾の念を感じている。履修したくても残念ながら不合格になる学生もたくさんいることを考えれば、そういう履修行動は褒められたことではない。
本授業ではそういう行動をしないように、お願いしたい。

授業計画

第1回 人工知能論入門ーひとの賢さ
[Introduction to AI]

人工知能研究の基礎的な考え方である記号計算、論理的推論に関して学ぶ.
知識を記述すること、適用することにおける問題点も議論し、人工知能分野への導入とする.
コンピュータとひとは何が違うかを説く.

Students learn the basic idea about how intelligent human being is and how different he or she is from AI.


第2回 知識の記述の実践:ヒューリスティクス
[Heuristics]

各自身近な例題を挙げ、自分の「知的さ」を成立させている知識を記述することを試み、知識記述の問題点を議論する

What kind of heuristic do we human being have?
Students discuss it, thinking of daily scene in which intelligence is exhibited.


第3回 フレーム問題
[Frame problem]

フレーム問題は知識記述をしようとした際に人工知能が直面した最大の難問である.身近な例題でその本質に迫り議論する.

This is THE very difficult problem the AI has tackled since its birth.
What it is and how it is a difficult problem will be discussed.


第4回 身体性
[Embodied-ness]

身体を有するから予め記述されていなくてもひとは知を発揮できるのであるということを説く.

Intelligence is rooted on body. How is it and what embodied-ness is significant in thinking of intelligence will be discussed.


第5回 身体生活に根ざした意味
[meaning]

我々はどのように意味を形成するのか? 例えば「飲む」という概念に関して,我々は何をしっているか? 実生活における体験を議論しながら,意味形成のプロセスに迫る.フレーム問題には再度ご登場いただく.

Meaning of words are a good example in thinking of embodied-ness of our intelligence.


第6回 優れたプロフェッショナルの知
[Intelligence of professionals]

例えば,コミュニケーションや笑わせることのプロである芸人がどのような身体知を有するかを議論する

Taking examples from various professionals, we will discuss how they are intelligent.


第7回 コミュニケーションの知:その1
[Intelligence about communication 1]

コミュニケーションの身体知の研究(例えば,お笑いTV番組を例題とする)

Researches on intelligence on communication will be introduced. (Guest Speaker)


第8回 コミュニケーションの知:その2
[Intelligence about communication 2]

お笑いTV番組を例題とし,そのなかで芸人がどのような身体知を発揮しているかを分析,議論する

Taking examples of comedians' intelligence, how their intelligence is rooted on their body will be discussed. (Guest Speaker)


第9回 Mental Leapと問題解決プロセス
[Mental leap and problem solving]

ギャップがあり,なんらかの飛躍を導入しないと解くことのできない問題を多数紹介し,フレーム問題との関係を論じる.問題空間の概念も学習する

The relationship between frame problem and so-called mental leap will be discussed.


第10回 物語性
[Story-telling]

知の探究において,物語性は鍵となる概念であることを説く.

The aspect of story telling could be a key concept in the studies on intelligence.


第11回 社会とAIその1
[intelligence of creating a story]

社会を変えるためのAIとは何かを議論する

Students will discuss ways in which AI will be utilized to make social change happen.


第12回 社会とAIその2

社会を変えるためのAIとは何かを議論する


第13回 TV番組におけるAI

AI技術が物語の中心に据えられている番組を視聴し、その内容を臨機応変さの観点から議論する


第14回 議論大会その1

これまで学んできたAIの思想について、質疑を交わす議論会としたい


第15回 議論大会その2

これまで学んできたAIの思想について、質疑を交わす議論会としたい


15回目に相当するその他の授業計画

* 知の学問に関する総合討論2* 知の学問はどうあるべきかに関して総合討論と発表を行う

Wrap up discussion 2: How researches on intelligence will and should be.