2020年秋学期 - 研究会A / SEMINAR A
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A1101 研究会A SEMINAR A |
研究プロジェクト科目 Research Seminars 4 単位 |
言語と学習、発達の認知科学
Cognitive Science: Language processing learning and development
| 開催日程 | 秋学期 木曜日4時限,金曜日5時限 |
| 担当教員 | 今井 むつみ(イマイ ムツミ) |
| 関連科目 | |
| 授業形態 | 講義、ディスカッション、グループワーク、実験、演習 |
| 履修者制限 | |
| 履修条件 |
統計の知識と英語の学術テキスト(論文)を読む力 Knowledge of statistics, Competence of reading academic English |
| 使用言語 | 日本語 |
| 連絡先 | imai@sfc.keio.ac.jp |
| 授業ホームページ | http://cogpsy.sfc.keio.ac.jp/imailab/ |
| 設置学部・研究科 | 総合政策・環境情報学部 |
| 大学院プロジェクト名 | |
| 大学院プロジェクトサブメンバー | |
| ゲストスピーカーの人数 | |
| 履修選抜・課題タイプ=テキスト登録可 | false |
| 履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 | false |
| GIGAサティフィケート対象 | |
| 最終更新日 | 2020/07/06 14:23:23 |
研究会概要
目的・内容
【研究会概要】
本研究会では、発達心理学・認知心理学・言語心理学・脳科学の視点から、人間の学習や発達、言語の認知の仕組みを探ります。研究会時間内では、過去の文献を読み、卒業プロジェクトの基礎知識を身に付け、実験手法や統計についての考察を深めていきます。卒業プロジェクトのテーマは大きく分けて、(1)言語の学習メカニズムと、言語と思考の関係についての研究、(2)学習・熟達の認知のメカニズムを考え、子供にとって良い「学び」を探求・実践していく研究と熟達者の認知と脳の変化の二つを軸としており、中でも、幼児の母語習得のメ
カニズムや、学習の認知メカニズムの理解に即し、子どもにとって「学び」とはなにかを探求することに注力しています。(1)と(2)を統合し、日本語を母語とせずに日本の学校で学ぶ子供たちの日本語の困難さの原因を同定するアセスメントと日本語の学習のための教材の開発も行っています。
卒業プロジェクトや修士論文のテーマは認知科学、教育心理学、教育心理学に基づいた教育実践に関する内容から各自が担当教員(今井)と相談の上決めます。例えば
(1)書いていないことを推測する(行間を読む)力と推論力の関係
(2)色ことばの発達過程
(2)幼児の意欲に影響する親子遊びの性質
(3)幼児の感情理解と語彙力 感情を理解するメカニズム
(4)推論と意思決定
などがあります。
[http://cogpsy.sfc.keio.ac.jp/imailab/teaching/graduationthesises/|こちら]
言語や子どもの発達、学習・教育に興味がある人はもとより、発達過程や人の行動のモデル化に興味を持ち、データ解析、モデリングを勉強したい人を特に歓迎します。
【活動内容】
研究会では、まず、認知心理学、脳科学、言語学に関する本や論文を読み、それを皆の前で発表することによって、研究をするために必要な知識を養います。さらに、卒業プロジェクトで、実験計画の仕方、行い方、データ分析の仕方、学習デザインの仕方など、研究に必要なスキル知識を実践的に学習していきます。研究会の時間内において、木曜4限は研究会のテーマに沿った文献を輪読し、金曜5限は個人のテーマに沿った文献を読み発表し、皆で議論していきます。授業外では、木曜5限統計の基礎や実験デザイン,実験方法
について学ぶサブゼミを実施、課外活動としては、子ども向けワークショップなどに出展しています。
課外活動の内容は
[http://cogpsy.sfc.keio.ac.jp/imailab/outreach/|こちら]
をご覧ください。
【研究会時間外の活動】
言語習得のメカニズムにせまる(言語) 人はどの様に母語や外国語を学ぶのでしょうか? 人間がどのように母語を修得するための情報処理ネットワークを構築し、母語を獲得していくのかを、脳計測・視線、その他行動実験などの認知科学による研究手法を基に、言語と脳、認知の関係に迫ります。研究興味に合わせて様々な手法に携われることが特徴であり、実際の調査に参加することで、研究手法や研究の行い方を経験しながら学びます。
◆言語プロジェクトの特徴◆
◇赤ちゃんや幼児の言語獲得 乳幼児の研究は、幼稚園・保育園での調査を通して行われます。言語学習のプロフェッショナルである乳幼児と成人を比較することで、乳幼児がどのようにことばを学習しているのか、外国語学習は母語の学習とどのように違うのか、といった問題に迫ります。 先行研究を読み、実験をデザインし、データをとり、統計分析のしかたを学ぶことを、学期を通して実際に進めていきます。
◇言語が思考に及ぼす影響 国内外の大学と連携し、日本語・英語・中国語・ドイツ語といった他言語の比較研究を行っています。言語の特徴が、言語学習と思考にどのような影響を及ぼすのか、言語普遍的な概念は何なのか、といった問題を扱います。
◇コーパスを使った言語の分析 実際に使われている言葉をさらにコーパス分析で言語をより深く分析します。この手法を用いて、日本語と外国語の比較や、それを通した外国語学習の教授法に迫ります。
◇プロジェクトについて詳しくは[http://cogpsy.sfc.keio.ac.jp/imailab/research/|こちら]
初等教育における「学習」を考える 子供たちはどの様に学び、発達していくのでしょうか?また、どの様な教育がよりよい学びを実現することができるのでしょうか? 学習プロジェクトではこうした問いに応えるために、教育実践と認知科学を軸として研究・実践活動を行なっています。「よりよい学び」を実現する学びかたを、幼児の言語獲得をヒントに考えて行きます。私たちは、子供たちが創造的に学び、学び方を学んでいくための教育の一案として「探究型学習(Project-Based Learning)」を推進しています。探究型学習ではプロジェクトを基本として、コンセプトを創り、生きていく上で最も重要なものの捉え方[認識]を育む学習形態です。また、研究と実践をつなげていくために、現場教員や国際的な研究者・実践者コミュニティを形成し、下記のような活動を定期的に行なっています。
◆プロジェクトの活動(学習)◆
◇ [http://cogpsy.sfc.keio.ac.jp/able/|ABLE]
(Agents for Bridging Learning research and Educational practice)研究者と教育実践者、社会変革を志す人々をつなぐコミュニティを主宰しています。国内・海外を問わず、先進的な研究や実践をしている方々をスピーカーに迎え、学習研究と教育実践をどの様につなげればよいのか、徹底的に議論します。 詳しい情報、過去の事例紹介は、下記のWebサイトをご覧ください。
◇ことばと思考力を測るアセスメント開発と測定
ことばの力、学力が低迷する児童に対して、ことばの運用力、認知能力、推論能力を測るアセスメントを開発しています。ある県と協力し、大規模な調査を行っています。研究プロジェクトではアセスメント開発とデータ解析を行います。
◇外国人幼児、児童の日本語支援
日本語を母語としない外国にルーツを持つ児童の日本語の支援をするために、アセスメントを行い、指導法を研究します。
履修者は原則として(1)言語に関する基礎研ある究の補助(2)子どもにとっての「学習」を考えるワークショップの両方に参加し、理論的・実践的に卒業プロジェクトに向けての基礎知識とスキルを身につけます。
The theme of this seminar is language acquisition in children, second language acquisition, and language processing. The seminar also deals with broad topic of cognitive science, with a special focus on learning and reasoning.
評価方法
出席は必須です。プレゼンテーション、プロジェクトへの参加と貢献、サブゼミへの参加と貢献などを総合的に判断します。
Attendance to the class is strictly required. Grades are given on the basis of the contribution to the projects and the quality of presentation.
教材・参考文献
今井むつみ 「学びとは何か」(岩波新書)
今井むつみ 「ことばと思考」(岩波新書)
今井むつみ・野島久雄・岡田浩之 「新 人が学ぶということ―ー認知科学からの視点」 北樹出版
今井むつみ 「言葉を覚える仕組み−ー母語から外国語まで」
今井むつみ 「ことばの発達の謎を解く」 ちくまプリマ―新書
今井むつみ・佐治伸郎(編) 「言語と身体性」 講座 『コミュニケーションの認知科学』第一巻 岩波書店
関連プロジェクト
課題
来期の研究プロジェクトのテーマ予定
その他・留意事項
コロナ感染の状況をみながらオンラインと教室での授業を取り交ぜて行います。今後の塾の方針で前回オンラインになる可能性もありますが、できるかぎり何回かは教室でリアルに研究会を行い、メンバー同士の直接の交流の機会を作りたいと思っています。
Meetings are arranged both online and offline (in a classroom). About 30-50% of the classes meet on campus, but we may switch all meetings on line depending on the Covid-19 situation.