2020年秋学期 - 研究会B / SEMINAR B
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A1102 研究会B SEMINAR B |
研究プロジェクト科目 Research Seminars 2 単位 |
実践:改革とイノベーションーー今期は「都市のビジネスモデル」を題材に
Anatomy of the Cities :History and Dynamics
| 開催日程 | 秋学期 月曜日5時限 |
| 担当教員 | 上山 信一(ウエヤマ シンイチ) |
| 関連科目 |
前提科目(推奨): C1162 |
| 授業形態 | ディスカッション、グループワーク、演習 |
| 履修者制限 | |
| 履修条件 |
経済学、統計学、政治学、社会思想史に関する知識があったほうがよい NA |
| 使用言語 | 日本語 |
| 連絡先 | office-ueyama@forest.ocn.ne.jp |
| 授業ホームページ | |
| 設置学部・研究科 | 総合政策・環境情報学部 |
| 大学院プロジェクト名 | |
| 大学院プロジェクトサブメンバー | |
| ゲストスピーカーの人数 | |
| 履修選抜・課題タイプ=テキスト登録可 | false |
| 履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 | false |
| GIGAサティフィケート対象 | |
| 最終更新日 | 2020/07/07 10:00:29 |
研究会概要
目的・内容
月曜5限にSFCで開講します。
○この研究会の目的は、履修者が卒業後に困難な課題を解決していくためのスキル(HOW)の育成に特化します。毎期のテーマ(WHAT)はあくまでHOWを磨く素材と位置づけます。
〇具体的にどういうスキルを磨くのか?
①表面的な事件や問題の背後によこたわる本当の課題を見抜く洞察力 ②社会的な課題を解決する分析力、③個人や集団の活動を社会変革のうねりに増幅する力(発信力、交渉力)等です。
より具体的には、速読、レポートライティング、グループ討議、プレゼン等の実践スキルの醸成と脳の筋トレです。これらを通じて改革とイノベーションを率いる課題解決能力を醸成します。
○進め方:毎週1冊のペースでその学期のテーマ(今期は「都市のビジネスモデル」)に関する古典や名著を読み、各人がミニレポートを書いてきます。それをもとに毎週の授業ではチームで討議、さらにそれに基づくクラス討議を行います。これらの積み重ねを経て各人レベルで定見を養い、またグループワークの班別活動で2050年の未来に向けた課題の洗い出しとその解決の方策を探り、学期末に研究成果の発表を行います。なお春学期の成果物は秋のORF等の場での発表につなぎます。
〇どういう本を読むのか
いわゆる都市計画や都市論の範囲を超え、広く文明論やテクノロジーまで視座を広げて古典を含む名著を選び、洞察の射程を広くとります。分野的には次の7つからバランスを考え10冊程度を全員で読み(履修予定者と相談して選択)、残りはグルワでカバーします。
A.ケーススタディ:NY,パリ、ロンドン、東京の4大都市の発展の歴史とその背景となったビジネスモデルを考える(名著読破よりも歴史の理解)
B.都市交易と都市経済:都市と国家の緊張関係、都市間ネットワークの中で都市をとらえる考え方を学ぶ(ウォーラシュタイン「入門世界システム分析」、ジェーンジェイコブス「発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学」等の名著多数あり))
C.都市戦略論:ハワードヒューズ等の田園都市論、リチャードフロリダらの創造都市論などビジネスモデル論の先駆事例の研究
D.都市文明論:フローデル「地中海」、ピレンヌ「中世都市」等の地中海都市国家の勃興史、文明論、宮崎一定「アジア史論」等の西アジア都市国家論など名著多数
E.都市開発:後藤新平(東京)、関一(大阪)、田村明(横浜)らの実践的思想家の足跡をたどり、満州鉄道や台湾等の経営論等にも都市経営の要諦を探る
F.スマートシティ論:中国杭州やシンガポール等が目指すデータに基づく都市経営(都市OS)、欧州のスマートシティ戦略、エストニア、ルワンダ、シンガポール、香港等の都市国家のビジネスモデル等、ICTや自動運転が未来の都市をどう変えるかを考える(先進事例研究)
G、都市哲学:補完性の原理、福祉の原理、人口論(広井良典「コミュニティを問い直す」「人口減少社会のデザイン」等
(注)洞察の対象は人口100万以上の大都市とし、地域再生(村おこし等)等は扱わない。また都市計画論や都市制度論(政令指定都市制度、都区制度)、地方財政制度論、また福祉や貧困等の個別具体の都市問題の掘り下げ等は直接は扱わない。あくまで大都市を有機的経営体としてとらえ、歴史的文脈の中での栄枯盛衰とそれを支えるビジネスモデルの洞察に注力する
〇特に重視するポイント
①「パースぺクティブ(Perspective)」の確立
「パースぺクティブ(Perspective)」とは、深い洞察に基づく先見力を意味します。資本主義、国民国家などの枠組みが揺らぎつつある中、経営者や政治家はますます適格な判断力を要求されます。その拠り所となる「内なる世界観、座標軸」がこれです。もちろん世界がどうなるかは神のみが知ることですが若いうちから努力して歴史、思想、哲学に裏打ちされた世界観を構築すれば未来への洞察力は上がります。
○なぜ2050年の未来を考えるのか
今期の授業では、各人が都市の経営について2050年の姿を描けることを目指します。30年も年先のことを今から想像するのはたいへんかもしれませんが長期思考は頭を鍛えます(僕は20歳の時の大学ゼミ(西洋思想・哲学)から大きな影響を受けました。当時学んだフランス構造主義やドイツ観念論、マルクス主義などが40代を過ぎで仕事で迷ったときのよりどころになりました)。
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参考1:過去の本研究会のテーマ
この研究会ではこれまで社会思想史の本を主に読んできました。すなわち、ギリシャ、近代啓蒙主義の政治思想、社会思想、比較文明論、歴史、経済史、社会学、心理学、国際関係などです。なお純粋哲学書は読みません。あくまで現実の世の中はどうなっているのか、どうなるのかを探求する書籍を選んできました。例えばこれまでにはロック(「市民政府論」)、アダム・スミス(「国富論」)、ルソー(「人間不平等起源論」)、ハンナ・アレント(「人間の条件」)、JSミル(「自由論」)、プラトン、アリストテレス、カント、ヘーゲルなどを読みました。 なお時折、最近の名著(「暴走する資本主義」「コミュニティを問い直す」等)も読みます。日本論や昭和史の本、東洋史、東洋哲学も読みます。例えば老荘思想、儒学、内藤湖南、網野義彦、宮本常一、等の本です。なお一部を抜粋してよむときもあります。
参考2:2019年春学期のテーマ(過去のシラバスの抜粋)
人類が歴史の中で培ってきた「戦略」「組織」「財務」「デザイン」の4つについてその発展の歴史を掘り下げ、今後への展望を得ます。授業はこれら4つのテーマについての輪読とグループワークを行い、秋のORFでの発表につなげていきます。 輪読は全員で読む本を毎週1冊決めたうえで、並行して4テーマ別のグルワ班でさらに詳しい調査研究を行います。最終的に7月には成果発表会を開催し批評を得ます。また成果物は秋のORFで発表します。
「戦略」:戦略は現代では企業経営を意味することが多いですが、もとは軍事から育まれたサイエンスです。授業ではギリシャ・ローマの古典(キケロ、シーザー等)、孫氏の兵法、三国志などを手がかりに古代の戦略をみたのち、マキアベリ、クラウゼビッツ等の軍事外交哲学を学んだうえで近代の経営学の名著をカバーし(ドラッカー等)現代の企業や国家における戦略論に何を学ぶかを考えます
「組織」:組織論は戦略論の実行の際に欠かせない理論ですが、主に近代において化石燃料と工業、近代兵器、官僚制を背景に発展しました。ここではカーネギー、テイラー等の近代組織論、マックスウエーバーの官僚制やプロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神、石田梅岩、近江商人哲学、フランクリン自伝、二宮尊徳等の経営倫理にまで射程を広げ、組織の成員の力をどう引き出すか、先人たちが考えてきた組織論と経営哲学を学びます
「財務」:戦略と組織を最高の状態に保つには兵站機能、すなわち、資材の調達・運送・保管、資金の調達と管理、経理、会計、簿記などが不可欠です。これらの”ソフトインフラ”の元で株式市場や会社制度、あるいは政府の予算、財政、金融、監査、業績評価、標準化などが機能しています。こうしたソフトインフラは今やITサービス化されモジュール化されつつあります。今期はこれらがどのように生まれ、どこに知恵が埋め込まれているのかを探ります。特に株式会社の起源、複式簿記の誕生、会計監査の限界、標準化(度量衡、技術基準など)の戦略的意義等に着目します
「デザイン」:現代の先端経営のキーワードはDX(デジタルトランスフォーメーション)とSD(サービスデザイン)といわれています。企業と世の中の営みのデジタル化に伴って、従来アナログに行われてきた各種のデザインが変質しつつあります。あるいはサイエンスだけでなくデザインが経営の差別化要素として生かされ始めています。経営者も芸術や文化へのリテラシーと感度を上げる時代になりました。今期はその背景と展望を探ります
NA
評価方法
1、グループワークへの貢献度(70%)
2、毎回のレポート提出と内容(30%)
3、なお、レポートは全回分を提出し、C−以上の成績を獲得することが単位習得の必要条件(ただし、D評価になったレポートは7日以内の再提出、再挑戦が可能)。なおレポート提出が期日に間に合わなかった場合は理由を問わず3ランク格下げ(例えばA+はB+)となる。またレポートが一つでも7日(1週間遅れ)を経て提出できなかった場合は、単位取得ができなくなる(但し、病気等の特殊事情の場合は期日に申し出れば条件緩和が可能。その場合は提出時にもその旨を記載すること)
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教材・参考文献
履修予定者と相談したうえで別途、連絡します
関連プロジェクト
ゼミ合宿をもう一つの上山研究会と合同で行います。通常、春学期開始前に新人向けのスキル研修会、9月後半にゼミ合宿を行います(これまでの行先は、奈良&大阪、河口湖、伊豆、笠間、高野山、山梨市)。
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課題
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来期の研究プロジェクトのテーマ予定
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その他・留意事項
新規履修者には新学期までの必読文献が指定されます(3冊程度)
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授業スケジュール
履修予定者と相談したうえで連絡します
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