2020年秋学期 - 研究会A / SEMINAR A
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A1101 研究会A SEMINAR A |
研究プロジェクト科目 Research Seminars 4 単位 |
ヒューマンパフォーマンス
Human Performance
| 開催日程 | 秋学期 火曜日4時限,火曜日5時限 |
| 担当教員 | 加藤 貴昭(カトウ タカアキ) |
| 関連科目 |
前提科目(推奨): B3210,B3101 前提科目(関連): C2117,C2050,B6131,C2052,C2051,C2025,C2024,B3207,C2054,B6132,B6168 |
| 授業形態 | 講義、ディスカッション、グループワーク、実験、演習 |
| 履修者制限 | |
| 履修条件 | |
| 使用言語 | 日本語 |
| 連絡先 | hpl-admin@sfc.keio.ac.jp |
| 授業ホームページ | http://hpl.sfc.keio.ac.jp/ |
| 設置学部・研究科 | 総合政策・環境情報学部 |
| 大学院プロジェクト名 | |
| 大学院プロジェクトサブメンバー | |
| ゲストスピーカーの人数 | |
| 履修選抜・課題タイプ=テキスト登録可 | false |
| 履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 | false |
| GIGAサティフィケート対象 | |
| 最終更新日 | 2020/07/06 16:31:39 |
研究会概要
目的・内容
*この研究会で自分のやりたいこと、見つけませんか?*
「人間工学って漠然と興味あるけど、難しそう。」「スポーツ心理学に興味はあるけど、どこから手をつけていいかわからない。」そんな風に考えていませんか? 「研究したいことって言われても…」多くの人が、最初はそう思っています。 私達の研究は、見る、感じる、といった日常生活に溢れていることを題材としているものがほとんどです。最近ではeSportsを学術的視点から考える研究も増えています。少しだけの興味からこの研究会に入ったはずが、いつの間にか自分や他の人から見ても面白いと思える研究を続けている人が多くいます。そのきっかけを一緒に作っていきましょう。新規生も継続生もお待ちしています。
*目的*
本研究会は、人間の様々な行動(≒パフォーマンス)を対象に、心理的および身体的な側面から、各種手法を用いて実験的に検証することを目的とします。
*内容*
グループ研究内容では知覚的スキルと眼球運動や、eSportsとリアルスポーツ、eSportsとヘルスケア等の関連性などを学術的観点から研究します。e-Sportsの他にも、ドライビング機能を用いた研究やカラーコンタクトの研究、実際にゲームソフトを用いて熟達化に向けてのプロeSports選手との比較、また高齢者の方々のヘルスケアを考える研究など、様々な分野で眼球運動計測等の手法を用いて行っています。
人間工学の分野では、日常生活において見受けられる人間と環境の問題を解決するために、印象評価や生体反応を元に人間と環境との調和を実現するための実践的な応用を目指します。
スポーツ心理学の分野では、エキスパートが発揮する高いパフォーマンスを支える視覚特性、必要となる心理的特性といった非言語的・包括的な知について考察します。実際に競技に打ち込んでいる学生が多いこともあり、学術的な意義のみならず、実践的な価値を見出すことを目指します。
研究会では主に下記の手法を用いて研究を行っています。
_主観的評価手法_
- 順位法(評価基準)
- SD法(印象評価)
- 評価グリッド法(評価構造)
- 心理テスト(POMS、DIPCA、Big5など)
- プロトコル分析(言語報告、テキストマイニング)
_他覚的評価手法_
- 眼球運動計測(通称アイトラッカー)
- 生体反応計測(心拍、発汗、呼吸など)
- 動作解析(モーションキャプチャなど)
- 行動分析(ワークサンプリング法など)
その他必要に応じて新たな手法を用いることもあります。
これまでの研究テーマなどは研究会ホームページを参照してください。
本研究会では「個人研究」と「グループ研究」の2つに取り組みます。個人研究は各自のテーマで研究に取り組み、卒プロとしての卒業論文を目指します。グループ研究は外部との共同研究をはじめ、特定のテーマについてチームとして研究を進めます。
*注意事項*
*今学期は原則としてオンラインでの研究会(予定)となります。*
キャンパスにて対面で機材を使った研究は行えない可能性があります。他の手法を用いたり、より広い視点から研究を考えていきましょう。
グループ研究は個人研究のテーマと関連性の高いものに所属する事を推奨します。グループ研究での被験者や計測したデータを個人研究に活用することも可能です。またグループは複数に所属する事はできません。
以下、現時点でのグループ研究のテーマです。(外部機関との共同研究に関しては、初回授業時に詳しく説明します。)
- eSports ヘルスケア・コミュニティ・環境構築:高齢者でも気軽に行えるeSports(例えば1-2-Switch)などのアクティビティ用いて、高齢者の認知機能、ウェルビーングの検討、最適な環境設定、さらには地域コミュニティの形成を目指す。今年は多世代交流間での研究も行っていく。そこでeSportsを媒体として高齢者のみに限らず若者との比較も行っていく。大井町ラボにて毎週月曜午前に地元の方々を対象にした健康講座を実施しており、学生が数人毎週参加してコミュニケーションをとり、地域活性化に寄付するための活動を行う。
- eSports:FPS、TPSジャンルのeSportsプロ選手の知覚、認知、パフォーマンスについて多角的に評価し、育成等への応用も検討する。現在は、eSportsの熟達者の眼球運動計測に力を入れている。
- ドライビング:近年減少している若者のドライビング機会を向上させるため、運転が上手くなる新たな方法についてeSportsなどの観点から潜在学習の可能性を探る。またレーシングシミュレータを用いて、プロドライバーなどの眼球運動計測、主観的評価、身体運動計測を行い、ドライビングパフォーマンスについて検証する。
- 知覚:様々なスポーツ競技者の熟達度による反応や視線運動、意思決定といった知覚スキルの差異を心理物理的手法を用いて検証し、競技レベル向上を目指す。その際マイクロサッケードの観点から計測も行い、注意などからスポーツにどのような影響が及ぼされているのかを競技レベルで研究する。
- 野球:eBaseball (パワプロ)に着目し、パワプロ技術の熟達化についてプロeBaseball 選手との比較、検討を行なっていく。昨年度は打撃モードにおける打撃スキルの違いを視線の動きと共に検証してきたが、今年度はピッチング、およびゲーム試合中の視線の動きに着目し、リアルとバーチャルの双方から研究していく。
- カラーコンタクト:株式会社アイレ様の製品を題材に、カラーコンタクトの認知度をあげるために効果的な広告に着目し、消費者が抱く各種印象、見られやすい項目、WEBサイト上での視線・行動特性について検証し、新たな提案を目指す。
- High Performance:スポーツをはじめ各種競技のプロ選手へのヒアリングを行い、共通項を見つけ出す。GRIT・BIG5等の調査法を用いて、幼少期・青年期を過ご仕方が与える影響、プロフェッショナルになるために必要な要素を考察する。また、アマチュアにおけるデータも取り入れ、慶應義塾大学体育会部員の技術向上につながるような研究も進めている。
- SIS班:熟達者の特性である自己調整学習における個人差に着目することで、競技者の熟達要素を明らかにした。今学期はe-SportsであるFIFAを用い、サッカーという観点から熟達要因の分析を行うにあたって、スポーツを題材とし人間のソフトウェアな部分である「知性」や「知覚認知スキル」に注目し、言語情報や眼球運動のデータを扱う。
本研究会で行う各自の個人研究テーマは基本的に自由です。しかし、自由であるがゆえに自ら問題を発見し、解決する能力が必要となります。限られた時間の中でグループワークと個人研究の双方を行わなければなりませんので、綿密に計画を立て、研究を進めましょう。
The purpose of this seminar is to analyze the human behavior and performance from the field of ergonomics and sports psychology by using various experimental methods from the psychological and physiological aspects.
In our group researches, we study the relevance of eSports and real sports, eSports and health care from an academic perspective. To be more specific, our research groups cover the mastery of games by comparing eSport professional players, proposing a new health care of senior citizens by measuring eye movement.
In the field of ergonomics, in order to solve human and environmental problems that will be seen in our life, we aim at practical applications to achieve harmony between humans and the environment that based on impression evaluation and biological reactions.
In the field of sports psychology, we are considering nonverbal and inclusive knowledge such as visual characteristics supporting high performances by experts, and psychological characteristics required. As we have a lot of students who are actually dedicated to sports competitions, we aim to find not only academic significance but also practical value.
評価方法
当研究会の軸である個人研究とグループワークへの貢献度、学期末に行われる研究成果物の発表および報告書の出来に加えて、研究会への出席や課題提出などから総合的に評価します。
研究成果が何も出ていない場合や成果が不十分と見られる場合は評価されません。
教材・参考文献
- 福田忠彦研究室・HPL編. (2009). 増補版 人間工学ガイド−感性を科学する方法−. サイエンティスト社.
- 日本スポーツ視覚研究会編. (2019). スポーツパフォーマンスと視覚 −競技力と眼の関係を理解する−. ナップ社.
- Williams, A. M., & Jackson, R. C. (Eds.). (2019). Anticipation and decision making in sport. Routledge.
- Magill, R.A. (2010). Motor Learning and Control: Concepts and Applications. 9th, Ed. McGraw-Hill.
- Schmidt, R.A. & Lee, T.D. (2005). Motor Control And Learning: A Behavioral Emphasis. 4th, Ed. Human Kinetics.
- Vickers, J.N. (2007). Perception, Cognition, and Decision Training: The Quiet Eye in Action. Human Kinetics.
関連プロジェクト
みらいのまちをつくる・ラボ
eSportsコンソーシアム・ラボ
課題
- 各回での課題の提出(手法実習など)
- 個人研究/グループワークにおける成果物の発表および提出
来期の研究プロジェクトのテーマ予定
関連テーマで継続予定
その他・留意事項
- 【新規履修者】研究を進める上で必要となる実験手法の習得を目指します。積極的に継続履修者と交流して、個人研究のサポートを受けましょう。またグループでの貢献も期待します。また、サブゼミとして、研究会以外の時間もデータの取得などグループワーク単位の活動があるためその活動に参加することができない学生は履修を勧めません。
- 【継続履修者】より深い個人研究を進めると共に、グループワークの中心として能動的に活動し、11月開催予定のORFを目指しましょう。新規履修者への親身なサポートも期待します。時間外での活動を行う可能性もありますので、研究会活動に時間を割ける学生を優先的に選抜します。
授業スケジュール
詳細なスケジュールについては初回授業時に案内しますが、概ね下記のような内容を予定しています。
# オリエンテーション
# 手法実習
# テーマ別グループワーク
# 個人研究(および個別の研究相談)
# 個人研究中間発表
# グループワーク最終発表
# 個人研究最終発表
# 成果物の提出
『各自が設定したテーマでの個人研究』と『テーマ別のグループワーク』が活動の中心になります。最終発表および成果物の提出に向け、計画的に進めてください。個人研究には、適宜行われる教員との研究相談や、学生間でのディスカッションを活用して下さい。