2020年秋学期 - 企業の社会的責任と社会・経済の活性化 / CORPORATE SOCIAL RESPONSIBILITY AND ACTIVATION OF THE ECONOMY
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C1046 企業の社会的責任と社会・経済の活性化 CORPORATE SOCIAL RESPONSIBILITY AND ACTIVATION OF THE ECONOMY |
特設科目 Special Seminars 2 単位 |
| 実施形態 | 完全オンライン |
| 開催日程 | 秋学期 水曜日3時限 |
| 担当教員 | 村上 恭一(ムラカミ キヨウイチ) |
| 関連科目 |
前提科目(推奨): 10050,10080,10090 前提科目(関連): 11040 |
| 開講場所 | SFC |
| 授業形態 | 講義 |
| 履修者制限 |
履修人数を制限する Only the selected students can take this course. |
| 履修条件 | |
| 使用言語 | 日本語 |
| 連絡先 | kyo1m@sfc.keio.ac.jp |
| 授業ホームページ | |
| 同一科目 | |
| 学生が利用する予定機材/ソフト等 | |
| 設置学部・研究科 | 総合政策・環境情報学部 |
| 大学院プロジェクト名 | |
| 大学院プロジェクトサブメンバー | |
| ゲストスピーカーの人数 | 2 |
| 履修選抜・課題タイプ=テキスト登録可 | true |
| 履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 | false |
| GIGAサティフィケート対象 | |
| 最終更新日 | 2020/08/31 12:29:35 |
科目概要
企業は様々な利害関係者から成り立っています。経営における様々な利害関係者とのかかわりの中で、その利害をどのように経済・社会の活性化に昇華させることができるか。その方策を検討することが授業の主たる狙いです。 経済や企業の経営には様々な態様があります。この講義では、会社を取り巻く関係者の特性をよく把握し、説明責任の意義を理解し、協調して関係を構築してゆく必要性を認識できることを目的としています。これらの内容について、現実社会の事例を踏まえながら、社会との関係の中であるべき企業経営について対話をしていきます。企業が解決すべき課題を踏まえた上で、これら課題に取り組むことが、なぜ企業が社会に応答していく(企業の社会的責任)ことによって、社会経済が活性化されるのかについて、理論面と応用面から探求していきます。
授業シラバス
主題と目標/授業の手法など
<Online講義としての注意点>
ゲスト講師の部分を除いてはOnline講義の基本を踏襲して構成します。つまり、対面講義で行われていたやり方をオンラインに代替させるという手法は用いません。そこで、ツールを前提とはしませんので、その時々の内容に応じた配信方法を用います。SFCで毎回何を行うのかをしっかり読み込んで講義内での説明をしっかりと聞いて次回の受講に備えてください。
<目的>
この講義は、理由付けや結論付けを急がず、真に創造的な創作をなす力を涵養することを目的としています。つまり、「わかりにくい」講義です。従って、理由や説明を求める人は目的外です。
講義は上記概要記載の主題と目的に則って、実践的に課題を解決することで構成されています。 構成は、講義編・ケース討議編・実践編の3部構成で行う予定です。ケース討議編では対話型講義手法が用いられ、疑似体験として問題発見・問題解決思考を高めることを目指す予定です。実践編では、企業の社会的責任と社会・経済の活性化を実践しておられる方々をお招きして、企業の社会的責任の実践による社会・経済の活性化において抱える様々な実務的な課題とその解題についてお話いただく予定です。
<その他>
この講義では、実践思考能力獲得を目標としています。それを、リフレクティブな実践と定義します。それはIdeas(基礎知識)にとどまらず、社会とのつながり(Connections)を考えたり、その応用(Extensions)を実践することです。評価はそのどの段階にいるのかによって行います。このためには、経験→省察→概念化→実践というサイクルを何度も廻ることが必要です。 このように、最終的に行為の中のリフレクション(reflection in action)のみならず行為についてのリフレクション(reflection on action)が必要です。総括としてこれを問うので講義時間以外の取り組みが必要です(課題・レポート他)。講義の運営状況に応じて適宜講義期間中に案内します。
教材・参考文献
講義毎に異なる事前課題を指定するのでSFS毎回チェックして準備することが必要です。また次回の講義への課題などは講義内で延べることもあるのでしっかりと受講してください。
提出課題・試験・成績評価の方法など
オンライン講義ですので自己主導型学力を重視します。評価は提出物の内容40%、オンラインクラス内でのクラスへの貢献60%の比率です。提出期限、字数などはSFSを基本として授業中に発表します。課題を総合的に判断します。毎回A41枚の定型シートを講義前後で提出してもらいます。これに加えて、基本事前課題を読み込んで課題を解いてから参加する必要があります。各レポートの指示はSFSを通じて行います。
履修上の注意
授業スケジュールなどの詳細は、シラバス公開日後においてもゲストのご予定に合わせて、講義予定の順番や日程が変わることや、予定していた内容が変更されることもあるので注意すること。
従来対面型講義で行われていた運営とは全く異なるのでそのつもりで受講してください。経営学・倫理学・政治哲学等々の視点など総合的な講義です。参加には探究心が必要です。一部外部の講師をお招きして進める予定です。したがって、外部の方のご都合などでシラバス記載の日程や順序に変更が生じる可能性とシラバス内容の変更が出る可能性がありますので注意してください。授業スケジュールや資料などの詳細は、順次SFSに掲載予定です。なお、対面講義時代(昨年まで)も、反転講義スタイルでした。これに加えて、今期はオンライン講義なので、オンライン講義で効果の出る講義方法を執ります。よって、ゲスト回を除いては極力同期接続を短くする予定です。ゲスト回は同期接続の予定です。反転講義についてはこの記事(https://diamond.jp/articles/-/175777)(但し、対面講義時でも講義の時間がなくなるほど対話が続いたこともありますが、現在の設計では内容理解のための講義は原則10分以上入る予定です。)か、動画(https://youtu.be/kBdfcR-8hEY)と下記の教材・参考文献を、非同期型アクティブラーニングについてはこの体験記事(https://note.com/ricksh/n/n4e486daa22b9)を参考にしてください。
授業計画
第1回 概論
なぜ、企業は社会的責任を負うのか。企業が担う社会・経済の活性化と
は何なのか。この講義で探求する概念などの概論や歴史的背景など、こ
の講義で議論する主要な概念について講義する。
第2回 経済的合理性とBOPビジネス の起業
近代経済学が発展する端緒となった時代に戻って、文化財保護運動、ナショナル・トラストの創設などに関わり、オックスフォードにあるラスキン・カレッジの名の元であるJ.ラスキンの思想とリバタリアニズムとを対比させながら、「経済合理性」概念と、社会・経済の活性化について議論する。また、ラスキンの思想を日本に紹介した日本におけるBOP(bottom of the pyramid)ビジネスについて、起業家賀川豊彦の業績と考え方について議論し、BOPビジネスの起業を通じた企業の社会的責任と社会・経済の活性化について議論する。
必読書: この最後の者にも・ごまとゆり (中公クラシックス) [単行本]ジョン ラスキン
(著)/ 賀川豊彦 (岩波現代文庫) [文庫]隅谷 三喜男 (著)
第3回 社会への参加
ダイバーシティなどの基礎となっている社会への参加について、「公共性」という概念を通じて議論する。
必読書: 人間の条件 (ちくま学芸文庫) [文庫]ハンナ アレント (著)
今こそアーレントを読み直す (講談社現代新書) [新書]仲正 昌樹 (著)
第4回 ケース討議:有限会社ビックイシュー日本−ホームレスの自立を目指す出版社−
慶応ビジネススクール【 文献番号: 9294 】
厚労省調査によれば、日本にはホームレスの人々が13,000人いるという。しかし、この数字は、実態とは程遠く、予備軍と目される人々を入れると、大幅に増えると見られる。雑誌「ビックイシュー」はイギリスで生まれた。ホームレスの人々の自立のために、ホームレスの人によって販売される雑誌である。駅頭で300円で販売する売上の半分以上がそうした人々の収入となるビジネスモデルになっている。この有限会社ビックイシュー日本−ホームレスの自立を目指す出版社−を用いた討議により、企業の社会的責任と社会・経済の活性化について考える。
第5回 【実践研究】ホームレスサッカー
蛭間芳樹さんから、ホームレスサッカーの運営を通じた社会参画の話を伺います。
蛭間さんは、
2009年よりホームレスが選手の世界大会「ホームレスワールドカップ」の日本代表チーム「野武士ジャパン」のコーチ・監督をボランティアで務め、2015年からはホームレス状態の当事者・生活困窮者・障がい者・うつ病・性的マイノリティ(LGBT)などが参加する「ダイバーシティ・フットサル」の実行員も務めておられます。
日本政策投資銀行 インダストリー本部 兼 産業調査本部 兼 サステナビリティ企画部 兼 経営企画部所属。
東京大学大学院工学系研究科社会基盤学卒業(修士)。専門は社会基盤学と金融。世界経済フォーラム(ダボス会議)ヤング・グローバル・リーダーに2015年に選出されました。フィリピン国「災害レジリエンス強化にむけた国家戦略策定(電力セクター)」アドバイザー、内閣府「事業継続ガイドライン第3版」委員、国交省「広域バックアップ専門部会」委員、経産省「サプライチェーンリスクを踏まえた危機対応」委員、一般社団法人日本再建イニシアティブ「日本再建にむけた危機管理」コアメンバーなど、内外の政府関係、民間、大学の公職を多数勤めておられます。
著書は『責任ある金融』(きんざいバリュー叢書/共著)、『日本最悪のシナリオ 9つの死角』(新潮社/共著)、『気候変動リスクとどう向き合うか(きんざい/共著)』、『ホームレスワールドカップ日本代表のあきらめない力(PHP研究所)』などがああります。
第6回 【実践研究】エーザイ株式会社 与贈に基づく地域社会づくりに向けた企業の取り組み
エーザイ株式会社から知創部部長から、同社の企業理念と知識創造活動を柱とした地域社会づくり等の実践面の話を伺う予定です。(人事異動にともない詳細調整中)
第7回 【実践研究】デジタルによる難民支援への取り組み
安田クリスティーナさんから難民のために電子証明書の発行を目指す「デジタル・アイデンティティ」事業についてそのきっかけから、今取り組んでいることを話していただきます。
安田さんは、
パリ政治学院を主席で卒業。在学中に知った身分証明書がない難民は人として認識されない問題に取り組み、大手IT企業に属しながらも、アメリカNGO「InternetBar.org」の理事として、難民のために電子証明書の発行を目指す「デジタル・アイデンティティ」事業を展開しています。2019年にはForbes Japan 30Under30 に選出されました。
2016年に米NGO「InternetBar.org」ディレクターに就任し、デジタル・アイデンティティ事業を担当。17年にアクセンチュアの戦略コンサルティング本部に新卒入社。19年にマイクロソフト・コーポレーションに入社しCloud Developer AdvocatesのProgram Managerに就任、20年にIdentity規格の国際標準化に取り組むIdentityアーキテクトに社内転職。人権を守りつつ、個人情報の有効活用に取り組むMyData Globalの理事にも選出されています。
第8回 【実践研究】廃棄食材と社会格差への取り組み
秋山 宏次郎君 一般社団法人こども食堂支援機構 代表理事から、大企業の経営資源を用いた貧困対策など多様な取り組みについてお話を頂きます。
秋山君は、
一般社団法人こども食堂支援機構 代表理事であると同時に、パラレルワーカー。一般企業に勤める傍ら、企業や行政に新規プロジェクトを提案。発起人として多くの案件を事業化に導く、SDGsオンラインフェスタ実行委員、大学での授業や講演、執筆活動、法人の代表など幅広く活動しておられます。また1.9万フォロワーがいるTwitter中の人でもあります。
第9回 【実践研究】教育への取り組み
竹村 詠美君から教育問題への取り組みを伺います。2020年7月新刊『新エリート教育 混沌を生き抜くためにつかみたい力とは』の著者に、現代の教育を巡る状況や日頃感じている疑問や、多くの対談などから得た話を伺う予定です。
竹村 詠美君
一般社団法人 FutureEdu 代表理事、 一般社団法人 Learn by Creation 代表理事
慶應義塾大学経済学部卒業、マッキンゼー米国本社や、日本のアマゾンやディズニーなど外資系7社を経て、2011年にPeatix.comを共同創業。
2016年以来グローバルな経験を生かした教育活動に取り組み、教育ドキュメンタリー映画「Most Likely to Succeed」上映・対話会の普及、2日間に2500名が集った「創る」から学ぶ未来を考える祭典、「Learn by Creation」主催や研修も行う。
『新エリート教育 ~ 混沌を生き抜くためにつかみたい力とは?』(日本経済新聞出版)を7月23日に上梓。 総務省情報通信審議会委員など公職も務める。二児の母。
ペンシルバニア大学MBA、同国際ビジネス修士
第10回 【実践研究】食にによる社会課題への取り組み
SFC塾員が、大手企業在籍中に社内起業し社長に就任した会社での社会課題への取り組みの実践の話を伺う予定です。
金丸 美樹 君 SEE THE SUN代表取締役社長からお話を伺います。
金丸君は
SFC卒業生で、『テーブルを創るすべての人を幸せに』を企業ミッションに、個人・企業・業界の垣根を越え、“テーブルの上” と “テーブルの裏”(生産者から飲食店まで食を提供する事業者など) にある、食にまつわる社会課題を解決する場をデザインするプラットフォームカンパニーを目指し、大手製菓会社の企業内起業家から、これまでの取り組みと、今考えていることについてお話を伺います。
第11回 【実践研究】大企業と起業家の組み合わせによる社会課題への取り組み
コーポレートアクセラレーターを推進している01ブースターからお越しいただき、広域アクセラレータや地域アクセラレータなど、起業家と大企業や行政を結んだ知識創成などの社会課題への取り組みについて話を伺う予定です。
第12回 まとめ
講義全体のまとめと皆さんが歩んでいく社会について考えていきたいと思います。
第13回 その他
13回、14回、15回の授業分はレポート作成、事前学習で代替するものとします。
第14回 その他
13回、14回、15回の授業分はレポート作成、事前学習で代替するものとします。
第15回 その他
13回、14回、15回の授業分はレポート作成、事前学習で代替するものとします。
15回目に相当するその他の授業計画
この講義では、実践思考能力獲得を目標としています。それを、リフレクティブな実践と定義します。それはIdeas(基礎知識)にとどまらず、社会とのつながり(Connections)を考えたり、その応用(Extensions)を実践することです。評価はそのどの段階にいるのかによって行います。このためには、経験→省察→概念化→実践というサイクルを何度も廻ることが必要です。 このように、最終的に行為の中のリフレクション(reflection in action)のみならず行為についてのリフレクション(reflection on action)が必要です。総括としてこれを問うので講義時間以外の取り組みが必要です(課題・レポート他)。詳細は受講者個々の要望によるので、講義の運営状況に応じて適宜講義期間中に案内します。