C2029
構成的認知論
CONSTRUCTIVE COGNITION 		先端科目-環境情報系
Advanced Subjects - Series of Environment And Information Studies
2 単位
実施形態 完全オンライン
開催日程 秋学期 金曜日４時限
担当教員 諏訪 正樹（スワ マサキ）
関連科目 前提科目（推奨）: B6048,04200
前提科目（関連）: B6011,03120,03090
開講場所 SFC
授業形態 講義、グループワーク
履修者制限

履修人数を制限する

受入学生数（予定）：約 60 人
選抜方法：課題提出による選抜

【課題内容】
Aさんは，ある会社で、文書／写真統合アプリを開発する部門で働いています。今の課題は、日々の気づきを文章として残し、それに付随した写真も保存するのが楽しくなるようなアプリの開発です。従来の類似アプリの延長ではなく、全く新しいコンセプトのアプリにすることが目標です。



つい最近、やっと、そういうアプリの開発に成功しました。



開発部門のワークショップでそれについて発表したら、上司から「そのアプリがユーザーの文章制作意欲を本当に促しているのかを評価分析する実験を企画しなさい」とアドバイスを受けました．「ついでに言うと，，」という前置きとともに，「ユーザーがそのアプリを使ったときに、何を感じたかを調査するような「単なる」インタビューやアンケート調査だけでは駄目だよ」というアドバイスももらいました．



さて，あなたがAさんだったとして，どういう評価実験をするかを考案して下さい．



文字数：約５００文字を上限とします

提出形式；PDF形式

◯エントリー〆切日時：2020年9月28日（月） 17:00
◯履修許可者発表日時：2020年9月30日（水） 17:00

◯ファイル登録

Only the selected students can take this course.

Number of students in the class (scheduled) : About 60
Pre-registration screening by submitted an assignment

【ASSIGNMENT】
Aさんは，ある会社で、文書／写真統合アプリを開発する部門で働いています。今の課題は、日々の気づきを文章として残し、それに付随した写真も保存するのが楽しくなるようなアプリの開発です。従来の類似アプリの延長ではなく、全く新しいコンセプトのアプリにすることが目標です。



つい最近、やっと、そういうアプリの開発に成功しました。



開発部門のワークショップでそれについて発表したら、上司から「そのアプリがユーザーの文章制作意欲を本当に促しているのかを評価分析する実験を企画しなさい」とアドバイスを受けました．「ついでに言うと，，」という前置きとともに，「ユーザーがそのアプリを使ったときに、何を感じたかを調査するような「単なる」インタビューやアンケート調査だけでは駄目だよ」というアドバイスももらいました．



さて，あなたがAさんだったとして，どういう評価実験をするかを考案して下さい．



文字数：約５００文字を上限とします

提出形式；PDF形式

* Schedule: TBD
履修条件

使用言語 日本語
連絡先 suwa@sfc.keio.ac.jp
授業ホームページ
同一科目

学生が利用する予定機材/ソフト等

設置学部・研究科 総合政策・環境情報学部
大学院プロジェクト名

大学院プロジェクトサブメンバー

ゲストスピーカーの人数 0
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履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 true
GIGAサティフィケート対象
最終更新日 2020/07/22 15:41:18

科目概要

認知科学は実験心理学とは異なる思想を持つ．自然科学的客観性を重視し過ぎるが故に認知をブラックボックスと扱った行動主義への批判と，コンピュータの出現に伴う認知への理解欲求から生まれた学問である．人間の知能は身体と言葉の相互作用により成り立つ．身体が進化すれば言葉も変わり，言葉が変われば身体も変わる．両者のインタラクションを科学的探究の俎上にのせることが認知科学の究極の目的である．そのためには過度な客観主義に縛られることなく，意識という主観的・内部観測的データにも眼を向ける必要がある．更に，現象を分析的に理解するだけではなく，認知と環境のインタラクションを構成的に創造し理解する方法論が必要である．本講義では最近の理論・実践を紹介し，新しい知能学問のあり方を議論する．

If objectivity and universality is too much imposed on studies of intelligence, cognitive processes will be sort of a black-box and the studies will stumble. Cognitive science and artificial intelligence actually begin to experience difficulty of that sort, because of the conventional methodology of natural science.
This lecture will clarify what the deficiency of that methodology is and how the studies on intelligence can cope with it.

授業シラバス

主題と目標／授業の手法など

認知科学は，意識と身体と環境の関係の上に認知がどのように成り立つかを問う学問であることを，身近な例をとりあげて学ぶ，従来の意味での自然科学的な方法論だけに固執していては上記の目的は果たせないことに関して，哲学的，科学論的観点からも議論を行う．したがって，いわゆる狭い意味での認知科学（例えば典型的な教科書が掲載する内容）だけでなく，関連する哲学（現象学や科学論）や実験心理学にも言及しながら，幅広い視点から認知科学的なパラダイムを学ぶことになる．

グループディスカッションとそれに基づく発表は頻繁に行う．
なるべく身近な認知プロセスを学生自らが選定し，自分で自分を観察する手法を駆使し，その観察（専門用語では内部観測と称する）を基に実践的に「認知科学」を論じることになる．

If objectivity and universality is too much imposed on studies of intelligence, cognitive processes will be sort of a black-box and the studies will stumble. Cognitive science and artificial intelligence actually begin to experience difficulty of that sort, because of the conventional methodology of natural science.
This lecture will clarify what the deficiency of that methodology is and how the studies on intelligence can cope with it.

Group discussions will be often used.
Assignments in class will also be frequent.
Students are supposed to select ( think of) cognitive processes as close to daily life as possible to discuss how studies of cognitive science should be.

教材・参考文献

知のデザインー自分ごととして考えようー（2015）．諏訪正樹，藤井晴行著．近代科学社．
を教科書として，頻繁に授業で使います．指定教科書として生協に置いてもらっていますので，入手して下さい．

以下の図書は，参考書です．
諏訪正樹，『「こつ」と「スランプ」の研究 身体知の認知科学』，講談社選書メチエ，2016.
諏訪正樹，堀浩一（編著）一人称研究のすすめ　ー知能研究の新しい潮流ー，近代科学社, 2015．
中村雄二郎, 『臨床の知とは何か，岩波書店，1992
郡司ペギオ-幸夫、松野孝一郎、レスラー, オットー・E, 『内部観測』, 青土社, 1997

提出課題・試験・成績評価の方法など

出席，授業内での発表や課題の質，最終レポートの質を基に、総合的に評価を行う。

Overall evaluation will be done based on attendance to the classes, quality of discussions and assignments in each class, quality of final report.

履修上の注意

本授業は履修選抜を行う。 履修選抜に合格したのに初回授業から履修をやめる学生が数多くいるという現状には、遺憾の念を感じている。履修したくても残念ながら不合格になる学生もたくさんいることを考えれば、そういう履修行動は褒められたことではない。 本授業ではそういう行動をしないように、お願いしたい。

授業計画

第1回 テレビドラマに見る認知科学的問題
[A problem on cognitive science that can be seen in a TV drama]

近年，法律や医学を扱ったテレビドラマに共通して示唆される問題に，「説明」や「解釈」という問題がある．この問題は「知の科学はどうあるべきか」という根源的な問いに深く関連し，本授業でとりあげる「認知科学的パラダイム」が従来の自然科学主義とどう融合するかの議論に大きなヒントになる．選定されたテレビドラマを視聴して議論し，本授業のトピックへの導入とする．

A TV drama dealing with law or medical science will be shown to discuss a fundamental problem on cognitive science.

第2回 認知科学の新しい潮流
[A new wave in cognitive science]

「生きているひと」の研究をしたい！それが認知科学のあるべき姿である．旧来の心理学的な学問は必ずしもそのことを実現していないことを，ある研究を例に挙げて議論する．この回で登場する例はその後もなんどもリフレインのように再登場し，生きているひとの研究がどうあるべきかを問う土台になる

The conventional cognitive science stick to the methodology of natural science too much to discuss essential aspects of human mind and cognition.

第3回 「生きているひと」の探究の実験提案の議論
[A proposal of cognitive experiment]

履修者がグループワークで，実験提案のための議論を行う．

Students form a group to discuss and propose a cognitive experiment.

第4回 「生きているひと」の探究の実験提案の発表前半
[Presentation of proposal 1]

各グループの実験提案を発表する

presentation of the product of #3

第5回 「生きているひと」の探究の実験提案の発表後半
[Presentation of proposal 2]

各グループの実験提案を発表する

presentation of the product of #3

第6回 観測行為と対象の相互作用
[Interaction of observation onto observed objects]

探究のための観測行為は，必ず観測対象に影響を与えることを説く．
そうであるならば，その影響は探究において支障はないのかどうかを議論する．

In general, the act of observation has an inevitable influence on the observed object. We will discuss its meaning in cognitive science.

第7回 本来性：学ばせながら観測することの重要性
[Observation and learning ]

観測行為が影響を与えることは，本来性を担保できるのであれば構わないという新しい考え方を説く．

A new way of thinking that it would be no NG at all if influence of observation on the observed person let him or her learn will be introduced.

第8回 構成的方法論
[Constructive science]

ここまでに議論してきた内容を総じていえば「構成的方法論」であるといえる．自然科学的方法論と構成的方法論の違いを論じ．認知科学的なものの考え方を学ぶ

The methodology of constructive science will be discussed.

第9回 方法論の挑戦：味覚感性を探究する
[A challenge to a new methodology]

例えば味覚感性の進化を探究するという研究例題において，生きているひとの探究であるためにはどのような方法論を採用すべきかを議論する．

Taking an example of studies on the progress (learning) of "kansei" of tasting, we discuss what kind of new methodology is needed.

第10回 学びは構成的
[Learning is a constructive process ]

授業内で，ある課題（写真を用いたデザイン課題）を実践的に考えることを通じて，学びは構成的であるということを身をもって知り，生きているひとの探究における構成的方法論の必然性を議論する

Students will be given an assignment using photo books, and are encouraged to feel as the problem of their own life that learning is a constructive process.

第11回 自然科学vs.構成的方法論の議論その１
[Natural science vs.constructive science 1 ]

自然科学的な方法論が扱うことを避けてきた問題を議論する．

Problems that have been avoided by the methodology of natural science are discussed.

第12回 自然科学vs.構成的方法論の議論その２
[Natural science vs.constructive science 2]

自然科学的な方法論が扱うことを避けてきた問題を議論する．

continued on

第13回 総合討論
[Wrap up discussion and presentation 1]

本講義で扱ってきた様々な概念や方法論について総合討論を行う．

第14回 総合発表その1
[Wrap up discussion and presentation 2]

認知を科学することをどう捉えるかに関する議論を基に，履修者がグループワークでの成果を発表する．

第15回 総合発表その2

認知を科学することをどう捉えるかに関する議論を基に，履修者がグループワークでの成果を発表する．

15回目に相当するその他の授業計画

* 総合討論* 近未来的な認知科学を切り開くための「ものの考え方」に関して総合討論を行う．

Wrap up discussion about the scientific methodology to open up the future of cognitive science