2020年秋学期 - 政策立案論 / ANALYTICAL FRAMEWORK FOR POLICY DESIGN
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C1071 政策立案論 ANALYTICAL FRAMEWORK FOR POLICY DESIGN |
先端開拓科目-総合政策-公共政策 Frontier Courses (Advanced) - Policy Management - Public Policy 2 単位 |
| 実施形態 | 完全オンライン |
| 開催日程 | 秋学期 火曜日3時限 |
| 担当教員 | 松井 孝治(マツイ コウジ) |
| 関連科目 |
前提科目(関連): B6163,C1050 |
| 開講場所 | SFC・オンライン |
| 授業形態 | 講義、グループワーク、遠隔あり |
| 履修者制限 |
履修人数を制限する Only the selected students can take this course. |
| 履修条件 |
特段の専門知識を要しませんが、履修に当たっては日々の政治報道には関心をもって接してください。 |
| 使用言語 | 日本語 |
| 連絡先 | kmatsui@sfc.keio.ac.jp |
| 授業ホームページ | |
| 同一科目 | |
| 学生が利用する予定機材/ソフト等 | |
| 設置学部・研究科 | 総合政策・環境情報学部 |
| 大学院プロジェクト名 | |
| 大学院プロジェクトサブメンバー | |
| ゲストスピーカーの人数 | 2 |
| 履修選抜・課題タイプ=テキスト登録可 | true |
| 履修選抜・選抜課題タイプ=ファイル登録可 | false |
| GIGAサティフィケート対象 | |
| 最終更新日 | 2020/08/24 10:54:03 |
科目概要
本科目は、内閣(首相官邸及び中央省庁)、国会、地方自治体などの統治機構をできるだけわかりやすく解説し、日本の政策立案の実態を説明するとともに、学生の皆さんが、政治や行政にどのように向き合い、関わっていくべきかを議論していきたいと思います。
私自身は 30年間、官僚として自民党政権の下で官邸機能強化や省庁再編に、官房副長官を含め政治家として「新しい公共」や官邸改革、政治主導、国会改革に取り組みました。ここ数年、安倍政権の下で相当進捗しているものもありますが、改革は、未だ、道半ばです。
本科目においては、学生の皆さんが、現在の我が国の政治や行政の成り立ちや課題を理解した上で、20年後、30年後を視野に入れて、従来の政治・行政機構のみならず、広くNPOや民間企業、さらには住民一人ひとりの参画のもとで、社会的課題を解決する仕組みをどのように作るかをともに考え、学びます。
In this course, we will examine the Japanese governance mechanism including the Diet, both central and local governments.
Sharing the professor's experience as a lawmaker and a bureaucrat, we will discuss how to improve Japan's policy making process.
Furthermore, students are expected to design the future society in which not only government sector but also NPOs/NGOs and private companies share more active role in the field of public policies.
授業シラバス
主題と目標/授業の手法など
行政、立法を中心に日本の統治機構がいかに構成され、いかなる人々によりどのように運営されていて、そられがどのような問題点を抱えているのかを、事例も交えながら講義します。(講義中心方式)
同時にそれが一方通行とならないように、受講者を少人数グループに分けて、折に触れて、一定のテーマについて授業時間内に議論を行ってもらい、代表者がグループの議論を紹介し合い、それにつき教員が解説する手法も採用します。
(グループプレゼンを求めるような課外のグループワークではありません)
例えば、国会の質疑の模様(日本と英国)を映像で紹介したうえで、国会における討議のあり方を考えるなど、身近なテーマも取り上げたいと考えています。
シラバスは標準的な講義の流れを示していますが、今学期もゲスト講師を招聘する予定であり、ゲストの都合等により講義の流れは変更の可能性があります。
なお、春学期に開講する現代政治論においても、日本の統治機構を論ずるという意味で本科目との共通項はありますが、現代政治論においては、主権者たる国民が代理人としての政治家を選ぶ選挙のプロセスと、国民がいかに政治や行政とコミュニケーションをとれる体制を作るか、政治家と官僚や経済界などとの関係をいかに変革すべきかに絞りこんで、よりグループ討論に重点を置いて、議論を行います。
本科目(政策立案論)は、講義形式を中心に、現代政治論の前提としての統治機構(行政・立法)と政策立案過程、さらには「新しい公共」による社会資源の総動員による問題解決を可能にする新たな政策立案のあり方を展望します。
The teaching method will be mixture of lectures and discussions.
(mainly lectures, in some cases, we encourage students to make group discssions on some topics and to share them among classmates)
教材・参考文献
松井孝治 霞が関の矜持を保つ国会改革を Voice2020.9
松井孝治 政治論争できない国会を改めるべきだ 正論2020.5
松井孝治 ポピュリズムに打ち克てるか Voice2020.4
松井孝治 若手官僚の悲鳴を受け止め、令和の統治機構改革を断行せよ、中央公論2019.11
松井孝治、真の野党再生論、Voice2018.7
松井孝治、国会改革を再起動し、”令和デモクラシー”を、中央公論2019.6
松井孝治、清水真人、牧原出、官を酷使する「政治主導」の歪み 中央公論2018.6
清水真人、平成デモクラシー史、ちくま新書、2018
松井孝治、官邸のリーダーシップとは何か、世界2014.5、no.856、p.144-152
松井孝治、民主党の政権戦略とその挫折、世界2014.7、no.858、p.225-233
松井孝治、「公」を紡ぎ直し、「質的成長」へと転換するために、世界2015.7、no.865、p232-241
黒澤明監督 映画「七人の侍」東宝1954
庵野秀明監督 映画「シン・ゴジラ」東宝2016
提出課題・試験・成績評価の方法など
最終試験と中間レポート(複数)、授業への参加状況の総合評価とします。最終試験はオンライン、リアルタイムでSFSにアップして頂く形で実施します。
事前連絡なく合理性の認められない欠席が4回以上の場合、
中間レポート未提出、試験不受験の場合は、それぞれ単位取得を認めませんので注意してください。
就職活動や通常の部活に伴う欠席は合理的理由のある欠席とは認められませんのでご注意ください。
Grades are based on a conmination of (1)Final exam, (2)mid-term report, (3)class attendance & participation.
履修上の注意
黒澤明監督の映画「七人の侍」を各自鑑賞の上、この映画から「統治」について何を読み取ったのかについて、第5週授業前に中間レポートとして提出してもらいますので、十分な時間的余裕をもって観賞できるように早めに手配してください。
国会議員ゲスト講義等についても感想コメントが中間レポートとして課せられます。
授業中の許可のない携帯電話、メール送受信、SNSの使用は禁止します。
Students are required to watch "Seven Samurai"(Kurosawa) and submit the mid-term report(How you read the governance in "Seven Samurai") before #5 class.
授業計画
第1回 イントロダクション・わが国統治機構の概要
[Introduction, Oveall picture of Japanese governing system]
いわゆる三権分立の意義
政策を立案するということの意味、政策立案機構としての政治や行政はどのような機能を有するのかを考えます。
第2回 議院内閣制の本旨と実態
[Parliamentary cabinet system]
内閣とはどのような存在なのか、戦前と戦後の内閣の相違、議院内閣制の趣旨と「官僚内閣制」の実態、得失について解説します。
第3回 政治と行政の接点としての官邸
[Prime Minister's Office, as a node of politics and bureaucracy]
官邸とは物理的・機能的にどのような存在で、どのような人々が働いているのか。
実体験を踏まえ解説します。
第4回 行政はどのように構成されているのか(中央省庁)
[Central government ministries/agencies]
各省庁とはどういう関係で仕事をしているのか解説します。霞が関(中央省庁)の組織、所掌事務、課題などを解説します。
第5回 政党、政府と政党の関係
[Relationship between the government and ruling parties]
政党とはどのような存在なのか?政策の決定などにどのように関与しているのか。
国民にとってどのような存在なのか解説します。
この週「七人の侍」中間レポートの提出です。
第6回 「七人の侍」に見る「統治」
["Seven Samurai" and the governance]
「七人の侍」には統治の本質が描かれている。その内容を解説します。
第7回 国会とはいかなるものか
[Parliament under the Parliamentary cabinet system]
国会の構成と立法過程を概説した上で、日本と英国の国会質疑の模様を映像で比較し、国会での討議を有意義なものとするためにいかなる方策が適切なのかを議論します。
第8回 二院制
[Bicameral system]
参議院とはいかなる存在であるのか。二院制の課題と参議院改革のあり方を議論します。
第9回 中央と地方の関係
[Relationship between national and local governments]
地方自治体は本当に「自治」しているのか。
「中央省庁」は「地方」に対してどのように向き合っているのか。解説します。
第10回 「新しい公共」とは何であるのか
[New Public Commons]
約10年前に社会に問うた「新しい公共」の概念を解説し、今後の社会的課題解決のあり方を議論します。
第11回 ゲスト講義
[Guest lecture by a parliament member]
現職国会議員等をゲストに招き、現代日本政治の課題について議論します。
第12回 統治機構改革
[How to reform the Japanese governance system]
「新しい公共」や民間企業の事例も踏まえて、社会全体が公共的課題の解決にどのように向き合うのか。そうした時代の統治機構はいかにあるべきかを議論します。
第13回 まとめ
[Review]
講義全体を振り返り、とりまとめを行います。
第14回 最終試験・ふりかえり
[Final Exam]
オンライン試験
第15回 政策を作るということ意味
政策形成の失敗と成功を分かつ要素について議論します
15回目に相当するその他の授業計画
課題・レポート提出(上述)